手動の昇降デスクはどう?電動との違いと向いている人
ハンドルを回して天板を上げるタイプは、座位70cm前後から立位105cm前後まで動かすのに、数十回まわす前提になります。
1回転で進む距離は製品によって違い、数ミリから1センチ程度に収まるものが多い。
つまり手動の昇降デスクで最初に決まるのは昇降幅でも耐荷重でもなく、1日に何回その動作をするつもりかという点です。
1日1回なら気にならない手間が、1日6回になると「もう上げなくていい」に変わります。
本ページでは、1日に何回上げ下げするかで機構が絞れること・クランクとガス圧で変わる回す手間・置く前に測る3か所・ぐらつきが出たときにどこを締め直すかまで、まとめて紹介します。
手動の昇降デスクは、1日に何回上げ下げするかで機構が絞れる
座位と立位を朝と午後に1回ずつ切り替えるだけなら、クランク式でも不満は出にくいはずです。
逆に、会議のたび・集中が切れるたびに立ちたい人が同じ机を選ぶと、回すのが面倒で高さを固定したまま使うようになります。
機構の向き不向きは、ここでほぼ分かれます。
回す量を数字にしておくと判断しやすい。
座位70cmから立位105cmまでの差は35cm、1回転1cmの機種なら35回です。
1日2回なら数十秒の作業。
1日6回なら、1回ごとに集中が切れる時間まで含めて考えたほうがいい。
切り替えを1日5回以上見込む人は、レバー1つで解除できるガス圧式か、そもそも手動の枠から出る選択も検討する価値があります。
モーターで動かす型との構造差は、電動と手動で何が変わるかで解説しています。
ご覧ください。
頻度が決まったら、次は昇降幅の下限を見ます。
多くの読者が見落とすのは上限ではなく最低高で、ここが自分の座位より高いと、立つときは快適でも座ったときに肘が上がって肩に力が入りやすくなる。
もう一点、耐荷重の表記は天板の重さを含む数値か、天板を除いた数値かがメーカーによって違います。
フレームだけの製品と天板付きの製品を、数値だけ横に並べて比べないでください。
手動昇降デスクの機構は、クランク・ガス圧・段階固定に分かれる
手動と一口に言っても、動かし方は3系統あります。
同じ「電源不要」でも、上げ下げに要る力と時間、天板に載せられる重さの制約が別物になる。
クランク式
天板の下や横に付いたハンドルを回して、脚の中の軸を伸縮させる型です。
無段階で止められるので、自分の肘の高さにぴったり合わせられます。
回転数が要るぶん時間はかかりますが、力は分散されるため、机上に機器を載せた状態でも比較的軽く回る。
ハンドルが折りたためない機種だと、座ったときに膝や太ももが当たることがあるので、取り付け位置は写真で確認しておきたいところ。
ガス圧式・ばね式
ガススプリングやコイルばねで天板側の重さと釣り合いを取り、レバーを握って一気に上下させる型です。
切り替えは数秒で済みます。
代償として、天板と載せる機器の合計重量に下限と上限が指定される機種があり、軽すぎれば勢いよく上がり、重すぎれば持ち上がらない、または自然に下がってきます。
モニターを2枚に増やす、ドッキングステーションを足す、といった変更で釣り合いが崩れることも起こる。
段階固定(ピン・ノッチ式)
脚に一定間隔で開いた穴やノッチにピンを差し替えて高さを決める型で、構造がいちばん単純です。
無段階ではないので、決まった段のうち自分に近いところで妥協することになります。
天板を軽く持ち上げながら差し替える機種が多く、一人で操作しづらい大きさもある。
高さを2〜3通りで足りると割り切れる人向けの構造だと考えてください。
タイプ別に向いている人と、選ぶと辛くなる条件
| 機構 | 上げ下げの動き | 高さの決まり方 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| クランク式 | ハンドルを数十回まわす | 無段階 | 切り替えが1日1〜2回で、机上にモニターや書類を多く置く人 |
| ガス圧・ばね式 | レバーを握って上下させる | 無段階 | 1日に何度も立ち座りを切り替え、机上の機器構成をあまり変えない人 |
| 段階固定(ピン・ノッチ) | 天板を支えてピンを差し替える | 決まった段のみ | 座位と立位の2通りで足り、可動部を増やしたくない人 |
向かない条件も同じくらい大事です。
クランク式は、切り替え頻度が高い人には合いません。
ガス圧式は、機器を追加しがちな人や、天板を後から重いものへ替える予定がある人に不向き。
段階固定は、身長に対して段の刻みが粗いと、座位で肘の高さが合わないまま使い続けることになります。
もうひとつ、天板の幅が広い機種は総重量が増え、どの機構でも操作が重くなります。
幅140cm以上を考えているなら、脚の本数とフレームの補強を先に見ておくといい。
設置面積から詰めたい場合は、幅と奥行きを決める基準で解説しています。
ご覧ください。
手動を選んで後悔するのは、回す手間を1日1回で見積もったとき
失敗の型はだいたい決まっています。
買う前は「1日1回上げれば十分」と考え、実際には立って作業した日の午後に座りたくなる。
そこで数十回まわすのが面倒で、そのまま座位固定になる。
手動が悪いわけではなく、頻度の見積もりが甘かったせいです。
1週間、いま自分が姿勢を変えたいと思った回数を数えてから機構を決めると、この失敗は避けられます。
2つめは、耐荷重の読み違えです。
前述のとおり天板を含むかどうかが表記でばらつくため、モニターアーム・スピーカー・書籍を載せた合計で余裕があるかを、天板重量を足したうえで確認してください。
とくにガス圧式は、規定重量から外れると昇降そのものが正常に動かなくなります。
3つめは、天板の形と脚の位置が噛み合っていないケース。
L字型やコーナー用の天板は重心が片側に寄るため、脚の配置とクランプの位置で使い勝手が変わります。
角に置く構成を考えているなら、L字を置くときの配置条件で解説しています。
ご覧ください。
そして、机ごと入れ替える必要が本当にあるかも一度疑ってほしい。
ノートパソコン中心で、立つのは短時間という使い方なら、既存の机に載せる卓上型で足りることがあります。
据え置き型との差は卓上型と据え置き型の分かれ目で解説しています。
ご覧ください。
昇降デスクを置く前に測るのは、肘の高さ・脚の張り出し・ハンドルまわりの空き
測る場所は3か所です。
1つめは肘の高さ。
椅子に座って背を預け、肩を落として肘を90度に曲げたときの床から肘までの寸法が、座位で欲しい天板高になります。
立った状態でも同じように測る。
この2つの数字が、機種の最低高と最高高の範囲に入っているかを突き合わせてください。
椅子の座面高が合っていないと肘の高さも決まらないので、机と椅子はセットで考えるのが早い。
座面の高さと奥行きの合わせ方は、自宅で疲れない一脚を選ぶ基準で解説しています。
ご覧ください。
2つめは脚の張り出しです。
手動の脚はフレームが太めで、ベース(接地部)が前後に出る設計もあります。
壁付けにするなら、背面のケーブルが天板の上下でどれだけ引っ張られるかも見ておきたい。
上げ下げでケーブルが突っ張ると、機器の端子に負担がかかります。
机上の電源をどうまとめるかは、口数と安全機能で決める基準で解説しています。
ご覧ください。
3つめはハンドルやレバーの周囲の空きです。
クランク式は回す軌跡ぶんのクリアランスが要り、袖のワゴンや引き出しが干渉すると回しきれません。
折りたたみ式のハンドルなら、たたんだ状態の突き出し寸法を確認する。
ガス圧式のレバーも、天板の縁のどこに付くかで、椅子を寄せたときの当たり方が変わります。
ぐらつきが出たら、天板と脚の接合部とアジャスターから締め直す
手動でも電動でも、天板を高くすると横方向の揺れは増えます。
キーボードを打つたびに画面が細かく震えるなら、まず天板と脚フレームを留めているボルトを順番に締め直してください。
片側だけ強く締めると歪みが出るので、対角に少しずつ回すのが基本です。
それでも残る揺れは、床側を疑います。
脚の接地部にアジャスター(高さ微調整のネジ)があるなら、ぐらつく側を伸ばして4点が均等に接地するよう合わせる。
段階固定の機種は、左右のピンが同じ段に入っているかも確認しておきたい。
片側が1段ずれていると、天板が傾いたまま使うことになります。
ガス圧式で「下がってくる」「上がりきらない」が出た場合は、机上の重量が指定範囲から外れていないかを先に見てください。
機器を減らして戻るなら重量の問題、変わらないならガススプリングそのものの不調が疑われます。
分解して内部を触るのは避け、メーカーの窓口に相談するほうが確実です。
可動部の注油や清掃も、指定がある機種はその指示に従ってください。
昇降機構を含めた机選びの全体像は、立ち座りを切り替える机の基準で解説しています。
ご覧ください。
よくある質問
クランク式は、上げ下げにどれくらい時間がかかりますか
1回転で進む距離と昇降幅で決まります。
1回転1cmの機種で35cm動かすなら35回。
慣れれば数十秒の作業ですが、回転数が多い機種ほど時間は延びます。
カタログに1回転あたりの上昇量が書かれている場合は、そこを見比べてください。
手動昇降デスクにモニターアームは付けられますか
天板の厚みとクランプの開き幅が合えば取り付けられます。
ただし天板の裏に補強フレームが通っている位置には、クランプが噛まないことがある。
取り付け予定の位置に平らな面がどれだけあるか、購入前に裏面の写真で確認しておくといいでしょう。
アームぶんの重量を耐荷重に足して考えるのも忘れずに。
ガス圧式は、天板に何を載せても動きますか
いいえ。
機種によって、天板と載せる機器の合計重量に下限と上限が指定されます。
軽すぎると勢いよく上がり、重すぎると持ち上がらない、あるいは自然に下がってくる。
機器構成を頻繁に変える人は、この制約が効いてきます。
手動から電動に替えるとき、天板は使い回せますか
ネジ穴の位置とフレームの寸法が合えば流用できる場合もありますが、脚のフレーム形状はメーカーごとに違うため、そのまま付く保証はありません。
天板だけ残したいなら、購入前に脚側の対応天板サイズと取り付け穴の仕様を確認してください。
立って作業する時間は、どれくらいがいいですか
一律の正解はなく、体格や作業内容で変わります。
立ち続けて足腰に痛みや違和感が出るなら、時間を短くして座位と交互にするほうが続きます。
痛みが引かない場合や気になる症状があるときは、医療機関に相談してください。
まとめ
手動の昇降デスクを選ぶときは、昇降幅や天板サイズより先に、1日に何回上げ下げするかを決めてしまうのが早い。
頻度が低ければ無段階で合わせやすいクランク式、何度も切り替えるならレバー式、高さが2通りで足りるなら段階固定という並びになります。
耐荷重は天板を含む数値かどうかで意味が変わるので、そこだけは表記を読み分けてください。
まずは椅子に座った状態で肘の高さを測り、立ったときの肘の高さも記録してみてください。
その2つの数字を候補機種の最低高・最高高と突き合わせれば、選べる範囲はかなり狭まります。
本記事を手がかりに、自分の切り替え頻度に合う機構を選んでいただければと思います。
