オフィスチェアの選び方|自宅で疲れない一脚を選ぶ基準
家具店の同じ棚に、オフィスチェアとワークチェアとゲーミングチェアが並んでいます。
写真で見比べても、どれも背もたれと肘掛けの付いた回転椅子。
違いが出るのは見た目ではなく、座面の奥行きや背もたれの角度をどこまで動かせるかという、機構の数のほうです。
ここを見ずに買うと、背中はしっかり預けられるのに、机に向かうと座面が深すぎて浅がけになる、というズレが起きます。
しかも合う合わないは体格と天板の高さで変わるので、同じ一脚でもレビューの評価が割れる。
だから他人の点数より先に、自分の机を測ったほうが早いのです。
本ページでは、似た言葉との違い・タイプ別の向き不向き・選ぶときに見る順序・買う前に測っておく寸法まで、まとめて紹介します。
オフィスチェアとワークチェア、ゲーミングチェアは何が違うのか
オフィスチェアは、事務作業のために作られた回転椅子の総称です。
脚部にキャスターが付き、座面の高さを変えられ、背もたれが後ろに倒れる。
この三つを備えていれば、たいていオフィスチェアと呼ばれます。
ワークチェアもほぼ同じ意味で、メーカーごとの言い方の違いにすぎないことが多い。
売り場で二つの名前が並んでいても、構造上の線引きがあるわけではありません。
はっきり違うのはゲーミングチェアです。
背もたれが肩より高く、座面の左右が土手のように盛り上がった形で、深くもたれた姿勢を長く保つことをねらった作り。
一方、前かがみで机に向かう時間が長い人向けの機構、たとえば座面を前に傾けたり奥行きを詰めたりする調整は、ゲーミングチェアはふつう持ちません。
見た目の存在感で選ぶと、キーボードを打つ姿勢では持て余すことがあります。
同じ椅子への評価が真っ二つに割れるのは、この用途の違いに体格差と机の高さが重なるからです。
ランキング上位の一脚が自分に合うとは限らない理由については、評価が割れる理由と選ぶ基準で解説しています。
ご覧ください。
オフィスチェアの座り心地を決めるのは、調整できる箇所の数
価格帯が上がると何が増えるのか。
ひとことで言えば、動く場所の数です。
座面の高さしか変わらない椅子と、座面の奥行きから肘掛けの角度まで動く椅子とでは、体に合わせられる幅がまるで違います。
| 調整できる箇所 | 動かすと変わること |
|---|---|
| 座面の高さ | 足裏が床に着くか、天板と肘の高さが揃うか |
| 座面の奥行き(スライド) | 背中を背もたれに預けたまま、膝裏に体重が集中しないか |
| 背もたれの角度とロッキングの強さ | もたれたときの反発の重さ、休憩姿勢の取りやすさ |
| ランバーサポート(腰当て)の位置と出っ張り | 腰の反りのどこに支えが当たるか |
| 肘掛けの高さ・前後・角度 | 肩を上げずに腕を置けるか、天板の下に収まるか |
| ヘッドレスト | もたれたときに首を支えられるか |
ただし、機構が増えれば増えるほど良いという単純な話でもありません。
部品が増えるぶん本体は重くなり、模様替えのたびに動かすのが億劫になります。
組み立ての工程も増える。
レバーが四つも五つも付いていると、最初に一度合わせたきり触らないまま使い続ける人もいます。
動く場所の多さは、自分で合わせ込む手間とセットです。
座面と背もたれのどこを見れば体に合うかの判断材料は、座面と背もたれの見方で解説しています。
ご覧ください。
メッシュ・ファブリック・合皮、素材で変わる通気と手入れの手間
座面と背もたれの張り地は、座った瞬間の感触よりも、数時間後の状態に差が出ます。
メッシュは網状の生地を枠に張った構造で、背中と生地のあいだに空気が通ります。
夏場の蒸れが気になる人が選びやすい素材。
反面、張りが強い製品はクッション性が乏しく、硬いと感じる人もいます。
座面までメッシュにするか、座面はクッションにするかで座り心地は変わる。
メッシュ特有の向き不向きについては、蒸れ方と注意点で解説しています。
ご覧ください。
ファブリック(布張り)は、クッションの厚みを取りやすく、冬でも冷たさを感じにくい素材です。
ただし飲み物をこぼしたときに繊維へ染み込みやすく、日々の手入れは掃除機やブラシでの毛埃取りが中心になります。
合皮は表面を拭くだけで済むのが利点。
その代わり、年数が経つと表面が硬くなったり剥離したりすることがあり、通気は三種類のなかで最も期待できません。
毎日長く座るなら通気、飲食をしながら使うなら拭き取りやすさ。
どちらを優先するかで、選ぶ素材はほぼ決まってきます。
タイプ別に見る、オフィスチェアの向き不向き
調整機構が一通りそろった標準タイプ
座面の高さと奥行き、背もたれの角度、肘掛けの高さまで動くタイプ。
在宅勤務で一日の大半を机に向かう人、家族と椅子を共用する人に向きます。
合わせ込める幅が広いぶん、体格が平均から外れている人ほど恩恵があります。
重量は増えるので、頻繁に動かす部屋には不向き。
機構を絞ったシンプルタイプ
座面の昇降と、背もたれが少し倒れる程度の機構だけを持つタイプです。
作業が一日一〜二時間なら、これで足りることが多い。
軽くて動かしやすく、掃除のときに邪魔になりにくいのも実際的な利点です。
ただし座面の奥行きが自分に合っていないと、そこを直す手段がありません。
ハイバック・ヘッドレスト付きタイプ
背もたれが頭まであり、深く倒して休む時間が長い人向け。
動画を見る、考えごとをする、といった姿勢を椅子に預けたい場合に効きます。
注意したいのは倒したときに背もたれが後方へせり出すこと。
壁ぎわに置くなら、後ろの余白を先に確認してください。
肘掛けなし・跳ね上げ式のコンパクトタイプ
机が小さい、椅子を天板の下に完全に収めたい、という条件で選ばれるタイプです。
省スペースと引き換えに、腕の重さは肩で支えることになります。
キーボード作業が長い人には、肘掛けありのほうが無難。
用途ごとの絞り込みは用途別の選び方と比較で、量販店で実際に座って選ぶ場合の見どころはニトリの種類の違いと選び方の目安でまとめています。
あわせてご覧ください。
オフィスチェアの選び方は、机の高さから逆算する
先に見るべきは椅子ではなく机です。
天板の高さが決まれば、必要な座面の高さが決まり、そこから座面の可動域が足りるかどうかが判断できます。
順序を逆にすると、良い椅子を買ったのに脚が浮く、という結果になりがち。
手順としては、まず今使っている机の天板の高さを測ります。
次に、その天板で肘が自然に置ける座面の高さを見当づけ、候補の椅子の座面高の可動域がその値を含んでいるかを確かめる。
含んでいなければ、その椅子は候補から外してかまいません。
ここを通過してはじめて、座面の奥行き、腰当ての位置、肘掛けの調整範囲という順に見ていきます。
素材の話はそのあとで足ります。
予算に上限があるなら、削る順番も逆から考えるのが筋です。
体に当たる寸法、つまり座面の高さと奥行きは最後まで残す。
ヘッドレストや肘掛けの多方向調整は、使い方によっては省いても困りません。
どこまで削ってよいかの線引きについては、見分け方と妥協できる点で解説しています。
ご覧ください。
買う前に測っておく寸法と、見落としやすい設置条件
測るのは二か所です。
ひとつは床から天板の上面までの高さ。
もうひとつは、椅子に座って足裏を床に着けたときの、床から膝裏までの高さです。
前者は座面高の可動域と照らすため、後者は座面が下限まで下がっても足が浮かないかを確かめるために使います。
天板が高くて足が浮くなら、フットレストを足すか、机側を替えるかの二択になる。
天板の高さそのものを変えられる机という選択肢もあります。
立ち座りを切り替える机の基準は、昇降デスクの選び方で解説しています。
ご覧ください。
設置条件で見落とされやすいのが、後方と床です。
背もたれを倒すタイプは、リクライニングしたぶん背面が壁へ寄ります。
壁との距離に余裕がないと、結局倒せないまま使うことになる。
床材も見ておきたいところで、フローリングに硬いキャスターを直接転がすと傷が付きやすく、チェアマットを敷くならその面積も部屋の計算に入れてください。
耐荷重の表記も確認対象です。
数値の測り方はメーカーで前提が違うことがあるため、他社の数字と単純に並べて比べない。
搬入経路、とくに玄関と廊下の幅も、箱のサイズと照らしておくと安心です。
よくある質問
在宅ワークにはオフィスチェアとゲーミングチェアのどちらが向きますか
キーボードを打つ時間が長いなら、座面の奥行きを調整できるオフィスチェアのほうが合わせやすいです。
ゲーミングチェアは深くもたれる姿勢を前提にした作りなので、机に向かう姿勢では座面が深く感じられることがあります。
もたれて過ごす時間のほうが長い使い方なら、この限りではありません。
高い椅子ほど疲れにくいのでしょうか
価格と体への合い方は別の話です。
上位機種で増えているのは調整できる箇所の数で、それを自分の体と机に合わせ込んではじめて意味を持ちます。
逆に、調整幅の狭い椅子でも寸法がたまたま合っていれば快適に使えることもある。
座り続けて痛みが出る場合は、椅子選びの前に医療機関へ相談してください。
メッシュチェアは冬に寒く感じますか
空気が通る構造なので、背中に風を感じるという声はあります。
座面までメッシュの製品と、座面はクッションの製品とでは体感が違うため、寒さが気になるなら座面の仕様を見て選ぶという手があります。
薄手のクッションを座面に足す使い方もひとつ。
座面が勝手に下がってくるのは故障ですか
座面の昇降はガスシリンダーという部品で行っており、経年で保持力が落ちると、座っているうちに下がることがあります。
部品交換に対応しているメーカーもあれば、していないメーカーもある。
購入時の保証書と、メーカーの補修部品の扱いを確認してみてください。
まとめ
オフィスチェアとワークチェアはほぼ同じものを指し、はっきり別なのはゲーミングチェアのほう。
そして座り心地の差は、素材よりもまず、動かせる箇所の数と自分の机との相性で決まります。
だから選ぶ順序は、机の天板の高さ、座面の高さと奥行き、背もたれと肘掛け、最後に素材、という流れになります。
まずはメジャーを一本持って、今の机の天板の高さと、座ったときの膝裏の高さを測ってみてください。
その二つの数字があるだけで、候補はかなり絞れます。
本記事を地図に、細かい判断は各記事で詰めていただければと思います。
