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オフィスチェアの試座で見るべき点|失敗しない確認手順

売り場で椅子に座って、数十秒で立ち上がる。

これがいちばんもったいない試座の仕方です。

試座で確かめているのは椅子の出来ではなく、自宅の机との相性だからです。

事務用のデスクは天板の高さが70cm前後のものが多い一方、家庭向けのデスクには72cmや73cmの製品もあります。

この2cmで、合わせるべき座面の高さも肘掛けの逃げ方も変わる。

だから家を出る前に天板の高さをメジャーで測り、その数字を持って売り場に行きます。

本ページでは、測っておく寸法と持ち物・座って確かめる順番・素材ごとに変わる見方・座る時間の目安まで、まとめて紹介します。

オフィスチェアの試座は、家の机の高さを測ってから売り場へ向かう

試座の成否は、店に着く前に半分決まります。

椅子は単体で座り心地が決まる道具ではなく、机の高さと床と体格の組み合わせで当たり方が変わるからです。

手ぶらで行くと、店の展示机で「なんとなく座りやすい」を判断することになります。

出発前に測るのは次の4つです。

  • 床から天板上面までの高さ。ここが座面高の基準になります。
  • 天板の厚みと、天板下の空きの高さ。引き出しや幕板があると、肘掛けや太ももがぶつかる高さが決まってきます。
  • 椅子を置く床の種類。フローリング、カーペット、畳のどれかでキャスターの転がりと沈み込みが変わります。
  • 搬入経路の幅。玄関ドア、廊下の曲がり、エレベーターの間口。組み立て式なら箱の寸法も関わります。

持ち物はメジャーと、この4つを書いたメモ。

それに普段パソコンに向かうときの服装を近づけておくと精度が上がります。

厚手のデニムと薄いスウェットでは、座面での滑り方も太もも裏の圧の感じ方も違う。

自宅で靴を履かないなら、試座のときも靴を脱いで座面高を合わせたほうが実際に近くなります。

椅子そのものをどの軸で絞り込むかは、自宅で疲れにくい一脚を選ぶ基準で解説しています。

ご覧ください。

試座は候補を2〜3脚に絞ってから行くほうが、判断が濁りません。

試座の手順は、座面の高さから始めて肘掛けで終える

順番があります。

座面の高さを先に決めないと、奥行きも背もたれも肘掛けも基準がずれたまま評価してしまうためです。

展示机が自宅と同じ高さとは限らないので、店員に自宅の天板高を伝えて、近い高さの机で試させてもらえるか聞くのが確実です。

1. 座面の高さを、足裏と肘の位置で合わせる

足裏全体が床に着き、机に手を置いたときに肘が直角に近くなる高さが起点です。

足が浮くと太もも裏で体重を支えることになり、肘が持ち上がると肩と首に力が入り続けます。

座面高の調整幅は製品ごとに違うので、自宅の天板高に対して上限と下限が足りているかを、この段階で確認します。

2. 座面の奥行きは、深く座ってから膝裏で見る

背もたれに背中を付けて深く座り、膝の裏と座面の先端のあいだに指が2〜3本入るかを見ます。

ここが詰まっていると膝裏を圧迫し、逆に空きすぎると背もたれまで届かず、浅がけになって背中を預けられません。

奥行きを前後にスライドできる型なら、この一点を自分の脚の長さに合わせられます。

3. 背もたれは、腰の張り出しの位置を確かめる

背もたれの下側にある膨らみ(ランバーサポート=腰を支える張り出し)が、自分の腰のくぼみと同じ高さに来ているか。

位置が高いと背中の中ほどを押され、低いと骨盤の上を押されて落ち着きません。

上下に動かせる型なら動かし、固定式なら合う位置に来る一脚を探すことになります。

4. 肘掛けは、天板に当たらないところまで下がるか

肘掛けを最も低くした状態で、椅子を机に寄せてみます。

天板や幕板に当たると、その分だけ椅子を引いて座ることになり、せっかく合わせた背もたれから背中が離れます。

取り外せる型か、跳ね上げられる型かも一緒に見ておくと、あとで逃げ道が残ります。

5. その姿勢のまま、動かずに座り続ける

最後に、キーボードを打つ姿勢のまま5分以上じっとしてみてください。

座った直後の柔らかさと、数分後にお尻の一点へ集中してくる感覚は別物です。

腰やお尻に圧が集まってくるなら、その椅子は毎日数時間の作業には向きません。

数十秒で立ち上がると、届いてから座り直せない椅子になる

試座を短く済ませたときに起きるのは、「座り心地が悪い椅子が届く」ことではありません。

あとから直せない寸法のずれが残ることです。

高さはガスシリンダーで動かせても、座面の奥行きや幅、背もたれの高さは基本的に変えられない。

どこが直せてどこが直せないのかを、失敗のパターンごとに見ておきます。

座面が高すぎて足が浮く

座面の下限が自宅の机に対して高いと、足裏が床から離れます。

応急的にはフットレスト(足置き台)で足の支えを作れますが、机の下の空間が狭くなります。

机側を下げられるなら、そちらのほうが根本的です。

高さを変えられる机という選択肢については、立ち座りを切り替える机の基準で解説しています。

ご覧ください。

深く座れず、浅がけになる

座面の奥行きが体に対して長すぎると、背もたれに背中を付けた状態では膝裏が当たり、当たらない位置まで前に出ると背もたれに届きません。

結果として背中を預けられず、腰の一点に体重が集中しやすくなります。

クッションを背中側に入れて奥行きを詰める手はありますが、腰の張り出しの位置が本来の設計とずれる。

奥行き調整機構のある型を最初から選んだほうが素直です。

肘掛けが天板に当たって、椅子を机に寄せられない

これは試座で最も見落とされる箇所です。

取り外し可能な肘掛けなら外して使えます。

固定式で高さも動かない型を選ぶと、机を買い替えるまで解決しません。

幕板や引き出しのある机なら、当たる高さは天板の位置より低いところにあるので、事前に測った「天板下の空きの高さ」がここで効いてきます。

メッシュとファブリック、合皮で試座の確かめ方が変わる

素材が違えば、確かめるべき点も座り続けたときの変化も別です。

同じ手順で流すと、素材固有の弱点を見逃します。

素材試座で見る点手入れ
メッシュ張りの強さ。フレームの縁が太もも裏やお尻に当たらないか目に入った埃を掃除機のブラシノズルで吸う
ファブリック数分後の沈み込み。底付きしてフレームを感じないか繊維に埃が入るので、粘着ローラーや掃除機で定期的に
合皮(PUレザー)座面での滑り。薄手の服で座り直しが増えないか乾拭きが基本。汗が残ると表面が傷みやすい

メッシュは面で体を受けるため、張りが強いと硬く感じ、弱いとお尻が沈んでフレームの縁が当たります。

手のひらで中央を押して、どのくらい撓むかを見ておく。

ファブリックやウレタン系のクッションは逆で、座った瞬間は柔らかいのに数分で底付きする組み合わせがあります。

だから座面の評価は必ず時間をかけてください。

ヘッドレスト付きの背が高い椅子は、もたれる姿勢を前提にした設計です。

とくにゲーミングチェアはオフィスチェアとは別物で、前傾で作業する時間に合わせて座面を前に傾けたり奥行きを詰めたりする機構はふつう持ちません。

売り場で隣に並んでいても、同じ基準で比べないこと。

メーカーごとの機構の差、たとえばシリーズによる座面の調整範囲の違いは、オカムラのシリーズ別の違いで解説しています。

ご覧ください。

1脚5分、同じ日に比べるのは2〜3脚まで

時間と脚数には目安があります。

1脚あたり5分以上、候補が2脚に絞れたら10分前後。

座った直後の印象と、数分経ってからの圧の集まり方は一致しないためです。

そして同じ日に4脚も5脚も座ると、比較の基準が鈍って最後に座った椅子が良く感じられます。

できれば、普段パソコンに向かう時間帯に近い時間に行く。

夕方の体と朝の体では、腰まわりの張りも足の浮腫みも違います。

もうひとつ有効なのは2回に分けること。

1回目で候補を2脚まで絞り、後日もう一度その2脚だけを座り比べる方法です。

1回目の記憶が薄れていても、メモに机の高さと合わせた座面高を書いてあれば同じ条件で再現できます。

近くに展示がなく通販しか選べない場合は、寸法表を自宅の数字と突き合わせる作業が試座の代わりになります。

見るのは座面高の可動域、座面の幅と奥行き、背もたれの高さ、耐荷重、肘掛けの高さと着脱の可否。

あわせて返品や交換の条件を購入前に確認しておくと、寸法が合わなかったときの逃げ道が残ります。

店頭で座れる型を優先して探す考え方もあります。

どのタイプが売り場に並びやすいかは、ニトリの椅子の種類の違いと選び方で解説しています。

ご覧ください。

よくある質問

試座のときは靴を履いたままでいいですか

自宅で靴を履かないなら、脱いで座ったほうが実際に近くなります。

靴底の厚みは2〜3cmあることも多く、そのぶん座面高の基準がずれる。

売り場で靴を脱ぐのが難しければ、靴底の厚みを引いた高さで座面を合わせておくという手もあります。

短い試座で、腰の痛みが出にくいかどうかは判断できますか

判断できません。

試座で分かるのは寸法が体と机に合っているかどうかまでで、体の症状がどうなるかは体格や作業時間、机の高さによって変わります。

すでに腰や首に痛みがある場合は、椅子を選ぶ前に医療機関に相談してください。

展示品と届いた椅子で座り心地が違うことはありますか

あります。

展示品は多くの人が座り続けているため、クッションやメッシュが馴染んでいることが多い。

届いた直後の新品が展示品より硬く感じるのは珍しくありません。

逆に言えば、展示品で既に底付きしているなら、その素材は沈みやすいと考える材料になります。

家族と共用する椅子は、誰の体に合わせて試座すればいいですか

いちばん長く座る人の体で合わせ、そのうえで調整幅の広さを見てください。

座面高の可動域が広く、奥行きと肘掛けも動く型なら、体格差のある人が交代で座っても合わせ直せます。

共用が前提なら、調整レバーの操作が座ったままできるかも確認しておくと使い勝手が変わります。

試座で座面のロッキングも試したほうがいいですか

試してください。

ロッキング(背もたれが後ろに倒れる機構)は張りの強さを調整できる型が多く、体重に対して強すぎると倒れず、弱すぎると預けた瞬間に倒れすぎます。

休憩でもたれる時間があるなら、その張りを自分の体重で合わせられるかまで見ておくといいでしょう。

まとめ

試座は椅子の良し悪しを当てる作業ではなく、自宅の机と自分の体に合う寸法を確かめる作業です。

だから測ってから行く。

座面の高さを合わせ、奥行き、背もたれ、肘掛けの順に見て、最後は動かずに5分座る。

あとから直せるのは高さと足元くらいで、奥行きや幅のずれは残ります。

まずはメジャーで天板の高さと天板下の空きを測り、その数字をメモしてから売り場へ向かってみてください。

数字を持っている人は、同じ売り場でも見える情報が違います。

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