コンパクトなオフィスチェアの選び方|狭い部屋で見る基準
コンパクトなオフィスチェアを探すとき、いちばん効くのは座面の幅ではなく、背もたれを倒したときに後ろへ何センチ出るかです。
カタログの寸法表に載っている幅・奥行きは、たいてい肘掛けを含む最大値か、脚の広がり(脚裾)の直径。
実際に部屋を占める面積は、これに引いた椅子を収める余白とリクライニングの逃げ幅が足されます。
幅50cmの椅子でも、キャスターの脚が直径60cmなら壁際では60cmぶんの床が要る。
本ページでは、脚の直径と背もたれの逃げ幅の測り方・肘掛けなしとローバックの選び分け・小さい椅子で体を痛めない条件まで、まとめて紹介します。
コンパクトなオフィスチェアで最初に測るのは、座面幅ではなく脚の直径
椅子が部屋に収まるかどうかを決めているのは、床に接している部分です。
キャスター脚のオフィスチェアは5本脚が主流で、脚が広がる直径はおおむね60〜70cm。
座面の幅が45cmでも、脚がその範囲まで張り出していれば、床の上では直径60cm超の円を占めます。
デスクの下に完全に押し込めるかは、この円と天板下の空間の関係で決まる。
次に見るのが背もたれの逃げ幅です。
リクライニングする椅子は、倒したときに背もたれの上端が後方へ動きます。
壁にぴったり付けて置くと、倒せない、または壁紙をこすることになる。
倒さない前提なら問題になりませんが、休憩でもたれたいなら10〜20cm程度の余白は見ておきたいところ。
三つめが、引いて立つための余白。
座面の後ろに人が立てるだけの隙間がないと、毎回横から抜け出す動きになります。
狭い部屋で椅子を選ぶときは、椅子の寸法そのものよりも「椅子+動作の余白」で床を測るほうが実態に合います。
メジャーで床に脚の直径ぶんの円を描いてみると、想像との差がはっきりします。
肘掛けなし・ローバック・座面小さめ、コンパクト化のやり方で使い勝手が変わる
小型をうたう椅子は、どこを削って小さくしているかが製品ごとに違います。
削った場所によって、向く人がはっきり分かれる。
肘掛けなしで幅を削った型
いちばん多いのがこれ。
肘掛けは片側で5〜8cmほど張り出すため、外すと全幅が10cm以上縮みます。
天板の下に押し込めるかどうかも、肘掛けの有無でほぼ決まる。
ただし肘を置く場所がなくなるので、キーボード操作中の腕の重さは肩で支えることになります。
机の天板が広く、前腕を天板に載せられる環境なら気になりにくい。
逆に天板が浅くて手首から先しか載らない机だと、肩に負担が集まりやすくなります。
背もたれを低くした型(ローバック)
肩より下で背もたれが終わる形。
見た目の圧迫感が小さく、部屋の抜けがよくなります。
腰から背中の下半分は支えられるので、机に向かって作業している間はそれで足りることも多い。
ただし休憩で首まで預けることはできません。
頭を支えたいならハイバックが要ります。
ここは小ささと引き換えに失うものがはっきりしている部分。
座面そのものを小さくした型
座面の幅と奥行きを詰めたタイプは、体格との相性で当たり外れが大きく出ます。
奥行きが浅すぎると太ももの支えが足りず、深く座っても膝裏側が浮く。
逆に奥行きが体に対して深いと、背もたれに届かない浅がけになります。
座面の奥行きは40〜45cm前後が一般的な範囲ですが、これは身長との組み合わせで判断するもので、数字だけでは合否が決まりません。
あぐらや体育座りのような座り方も想定するなら、座面の広さの見方が別に必要になります。
足を組んだり座面の上で脚を折りたたむ座り方に耐える寸法については、座面の広さを判断する基準で解説しています。
ご覧ください。
折りたたみ・スタッキングできる型
使わない時間にしまえるのが強み。
ただしキャスターや高さ調整のガス圧シリンダーを持たないものが多く、机の高さに座面を合わせる調整ができません。
1日30分の作業なら十分でも、毎日数時間座る用途では机との高さのずれがそのまま体に来ます。
コンパクトなオフィスチェアのタイプ別に、向いている人と向かない人
どこを削ったかと、その代償を並べると選びやすくなります。
| タイプ | 小さくなる場所と代償 | 向いている人 | 向かない人 |
|---|---|---|---|
| 肘掛けなし・キャスター脚 | 全幅が10cm前後縮む。腕の重さは肩で支える | 天板が広く前腕を載せられる机の人。机下に収納したい人 | 肩や首の疲れが出やすく、腕を預けたい人 |
| ローバック(背低め) | 視界の圧迫が減る。首と頭は支えられない | 作業中は前傾ぎみで、休憩は席を離れる人 | 椅子の上で仮眠や休憩を取りたい人 |
| 可動肘つき小型 | 肘を跳ね上げ・引き込みできる。機構ぶん重く価格帯も上がる | 机下に収めたいが腕の支えも欲しい人 | 持ち上げて動かす頻度が高い人 |
| 座面小さめ・軽量 | 床の占有が小さい。体格との相性差が大きい | 身長が低め、または着座時間が短い人 | 体格が大きい人。長時間の連続作業をする人 |
| 折りたたみ・スタッキング | 使わない時間にしまえる。高さ調整とキャスターがない | 来客用や短時間の作業を兼ねたい人 | 毎日数時間、同じ机で作業する人 |
| キャスターなし4本脚 | 脚の直径が小さく壁際に寄せやすい。前後の移動が手間 | 座ったまま動く必要がない作業の人 | プリンタや棚と机を行き来する人 |
表の右2列は、体格と作業時間で入れ替わります。
1日8時間座るなら、小ささよりも座面の奥行きと高さが体に合っているかを優先したほうが、結果として長く使えます。
在宅で毎日座る前提の条件整理は、在宅ワーク向けに絞った選び方でまとめています。
ご覧ください。
小さいオフィスチェアで失敗しやすいのは、机の高さを無視して選んだとき
コンパクトを優先して選んだ椅子でいちばん多いつまずきは、座面が机に合わないことです。
日本の一般的なデスクの天板高は70〜72cm前後。
この高さに対して座面の上限が低すぎると、肩を上げてキーボードを打つ姿勢になります。
折りたたみタイプや座面固定のスツール型は、この調整幅を持たないことが多い。
逆に座面を机に合わせて上げると、足が床に届かなくなる。
すると太ももの前側が座面の縁に押し当てられ、体重の逃げ場がなくなります。
この状態が続くと、同じ姿勢を保てなくなって数時間で落ち着かなくなる。
フットレストや台で足元を作れば緩和できますが、そのぶん床の面積は増えます。
小さくしたつもりが足元の道具で相殺される、という結果になりがちです。
もうひとつは、キャスターを軽く見て選んだ場合。
柔らかいラグやカーペットの上では小径のキャスターが沈み、動かすたびに引っかかります。
床材が畳やカーペットなら、キャスターの径と硬さを確認しておきたい。
床を守るためのチェアマットを敷くなら、その面積も部屋の計算に入ります。
コンパクトさと引き換えにしてはいけないのは、腰が当たる場所の支え
小型化で最初に削られやすいのが、背もたれの腰あたりの膨らみ(ランバーサポート=腰の反りを受ける張り出し)です。
ここが平らな板に近い形だと、骨盤が後ろへ倒れた座り方になりやすい。
座面の一点に体重が集まると、同じ姿勢を続けにくくなります。
コンパクトな椅子を選ぶときでも、背もたれの下側が腰の反りに沿って前へ出ているかは見ておきたいところ。
張り出しの高さを上下に動かせる型なら、身長差を吸収できます。
腰が気になる状態で椅子を選ぶ場合の見方と座り方の注意は、腰の負担を踏まえた選び方で解説しています。
ご覧ください。
なお体の痛みが続いている場合は、椅子の買い替えで判断せず、医療機関に相談してください。
座面のクッション材も、小さい椅子では薄くなりがちです。
薄いウレタンは沈み込みが早く、数か月で当たりが変わることがあります。
メッシュ座面なら通気はよく、面で体重を受けるので一点集中しにくい。
ただし張りが強いと縁の硬さが当たる場合もあり、これは体格しだい。
素材ごとの通気と手入れの差も含めた全体の判断軸は、疲れにくい一脚を選ぶ基準でまとめています。
ご覧ください。
買う前に突き合わせる数字は、机下の高さ・脚の直径・搬入経路の3つ
注文前に測るのは3か所です。
机の天板下から床までの高さ
椅子を机下に収めたいなら、天板の裏(引き出しや幕板があればその下端)から床までを測ります。
この数字と、椅子の「座面高の最低値+肘掛けの上端高」を突き合わせる。
肘掛けが幕板に当たって入らない、というのがよくある行き止まりです。
可動肘で跳ね上げられる型なら回避できることもあります。
脚の直径と壁までの距離
脚裾の寸法は「幅×奥行き」または直径で書かれています。
書かれていない場合、座面幅より10cm前後大きいと見ておくと外れにくい。
壁際に置くなら、これに背もたれの逃げ幅を足した数字が要ります。
玄関・廊下・階段の幅
コンパクトな椅子は組み立て済みで届くこともあり、その場合は箱のまま曲がり角を通せるかが問題になります。
分解して届くタイプなら搬入は楽ですが、ガス圧シリンダーの取り付けなど組み立て作業が発生する。
どちらが楽かは住まいの経路しだい。
それと、椅子を小さくするより机側を変えたほうが早い場合もあります。
天板の高さを動かせる机なら、座面の調整幅が狭い椅子でも高さを合わせられる。
机側で調整する選択肢は、立ち座りを切り替える机の基準で解説しています。
ご覧ください。
店で見られるコンパクトなオフィスチェアと、通販で選ぶときの違い
小型の椅子は、実店舗と通販で見つかるものの傾向が違います。
家具量販店や生活雑貨店の系列は、小さめの座面とローバックを組み合わせた製品を継続的に扱っていることが多い。
座って確かめられるのが最大の利点で、座面の奥行きが体に合うかは10秒座れば判断がつきます。
取扱いは店舗や時期で変わるので、目当ての型があるなら在庫を先に問い合わせておくといい。
ニトリで扱われている製品の種類の分かれ方は、系列内のシリーズの違いと選び方でまとめています。
ご覧ください。
通販は選択肢の幅が広く、可動肘つきの小型やメッシュ背の軽量モデルまで届きます。
ただし座面の張り具合とクッションの硬さは、写真と数値では分からない。
ここはレビューの傾向を読むしかない部分で、体格が近い人の書き込みほど参考になります。
国内メーカーと海外ブランドで寸法の考え方が違う点も、通販だと見落としがち。
ブランドごとの設計の傾向は、国内と海外の作りの違いで解説しています。
ご覧ください。
もうひとつ、狭い机で作業する人はライトの置き場所でも面積を取られます。
クランプ式にすれば机上を空けられるので、明るさと配置の考え方もあわせて確認しておくと、机まわり全体の設計が楽になります。
よくある質問
コンパクトなオフィスチェアは長時間の作業に耐えられますか
座面の高さを机に合わせられて、腰の当たる位置に支えがあるなら、小ささ自体は長時間の妨げになりません。
逆に高さ調整のない折りたたみ型は、時間が伸びるほど机とのずれが体に出ます。
判断の順番は、小ささよりも先に調整幅。
肘掛けなしとありでは、どちらを選ぶべきでしょうか
机の天板に前腕を載せられるかで決まります。
載せられる環境なら肘掛けなしでも腕の重さは机が受けます。
天板が浅くて手首から先しか載らない場合は、肘掛けか可動肘のある型のほうが肩は楽。
ただし全幅は10cm前後増えると考えてください。
キャスターなしのほうが場所を取りませんか
脚の直径は小さくなる傾向にあります。
壁際に寄せやすいのも利点。
ただし座ったまま前後に動けないため、机と棚を行き来する作業では立ち上がる回数が増えます。
動かない作業なら有利、動く作業なら不利、という分かれ方。
座面の奥行きは何センチが目安ですか
一般的な製品は40〜45cm前後に収まりますが、適正は身長と座り方で変わるため数字だけでは決まりません。
深く座って背もたれに腰が届き、かつ膝裏に座面の縁が食い込まないこと。
この2つが同時に成立する寸法が、その人の適正です。
可能なら実物に座って確かめるのが確実。
狭い部屋なら折りたたみ椅子で十分ですか
1日の着座が30分程度なら選択肢に入ります。
毎日数時間になると、座面高を机に合わせられないことと、クッションが薄いことが積み上がってきます。
しまえる利点と、調整できない不便を天秤にかけて決めてください。
まとめ
コンパクトなオフィスチェアで見るべきは、座面幅よりも脚の直径と背もたれの逃げ幅。
そして小さくするために何を削った製品なのかを確かめること。
肘掛けを外したのか、背を低くしたのか、座面自体を詰めたのかで、向く人がはっきり変わります。
削ってはいけないのは、机に座面高を合わせる調整幅と、腰の当たる場所の支えです。
まずはメジャーで、天板下の高さと壁までの距離を測ってみてください。
その2つの数字が決まれば、候補は一気に絞れます。
本記事を参考に、部屋にも体にも収まる一脚を見つけていただければと思います。
