トラックボール付きキーボードの特徴と向いている使い方
キーボードから手を離してマウスをつかむ、その往復が一日に何百回。
トラックボールを内蔵したキーボードや、キーボードのすぐ横に置ける単体のトラックボールが選ばれるのは、この持ち替えを短くできるからです。
ただ、選ぶときに効くのは形の好みではありません。
玉をどの指で回すか、です。
親指で転がす型と人差し指で回す型では、必要な机の面積も、慣れるまでの時間も変わります。
接続がBluetoothなのか2.4GHz無線なのかで、電源を入れた直後の使い勝手も分かれます。
本ページでは、玉の位置と操作する指の違い・一体型と別置きの選び分け・買う前に測る寸法と接続の確認まで、まとめて紹介します。
トラックボール付きキーボードで最初に決まるのは、玉を回す指
トラックボールは、玉の大きさと置かれた位置で操作する指が決まります。
玉が3cm台なら親指の腹で転がす配置、5cm前後まで大きくなると人差し指と中指、あるいは手のひらで押し回す配置になります。
ここが決まると、あとの使い勝手はほぼ連動して決まってしまう。
だから最初に選ぶ順番はここです。
親指で回す型は、玉が手の内側に収まるぶん本体の幅を取りません。
キーボードの右横に置いても、腕を外へ振り出す距離が短い。
一方で細かい位置合わせは親指一本の可動域で行うので、画面の端から端まで一気に送るような動きは、ポインタ速度の設定に頼る場面が増えます。
人差し指や手のひらで回す型は逆です。
玉が大きく、慣性で回り続けるため長い距離を一度で送れます。
指先の細かい動きも人差し指と中指で分担できる。
ただし本体が大きくなり、玉を回すあいだ手のひらを本体に預ける姿勢になるため、置き場所の面積は素直に増えます。
手の大きさも無視できません。
指の短い人が大径の玉に手のひらを乗せると、玉の頂点まで指が届かず、手首を持ち上げて操作する形になりがちです。
可能なら店頭で実機に手を置いて、玉の頂点に指の腹が自然に当たるかを確かめてから決めてください。
一体型と、キーボードとトラックボールを別に置く構成
「トラックボール キーボード」で探すと、ひとつの筐体に両方入った製品と、別々の機器を並べる構成の両方が出てきます。
どちらが正解というものではなく、机の広さと配列のこだわりで選び分ける話です。
一体型(トラックボール内蔵キーボード)
キーボードの右手側やパームレスト部分に玉が埋め込まれた形です。
占有面積が最小で、机にケーブルが1本増えることもない。
ホームポジションから玉までの距離が固定されているので、その距離が自分の手に合っていれば持ち替えの動作はいちばん短くなります。
ただし合わなかったときに動かせません。
製品の選択肢も、単体のトラックボールと比べれば限られます。
キーボードと単体トラックボールを並べる
いま使っているキーボードを変えずに済み、玉のサイズや操作する指を自由に選べる構成です。
置く位置も自分で決められるので、キーボードの右横でも、手前でも、左手側でも試せる。
代わりに機器が2つになり、無線なら電池も2つ分。
机の上の面積も一体型より食います。
分割キーボードの中央に置く
左右に分かれたキーボードの真ん中にトラックボールを据えると、両手を肩幅に開いたまま、玉には内側の指が届きます。
腕を外へ振る動作がほぼ無くなる配置です。
組み方や高さ合わせの注意点は、分割キーボードとトラックボールを組み合わせるときの注意点で解説しています。
ご覧ください。
トラックボールのタイプ別に、向いている人と向かない人
同じトラックボールでも、向く作業と向かない作業がはっきり分かれます。
自分の使い方を先に決めて、表の右2列から逆に絞るのが早いはずです。
| タイプ | 操作する指と玉の大きさ | 向いている人 | 向かない人 |
|---|---|---|---|
| 一体型(キーボード内蔵) | 親指または人差し指/小さめの玉が多い | 机が狭い人、配線を増やしたくない人、持ち替え時間をとにかく削りたい人 | キー配列や打鍵感にこだわりがある人、玉の位置を自分で微調整したい人 |
| 親指操作の単体トラックボール | 親指/3cm台 | キーボード右横の限られた隙間に置きたい人、文字入力と操作を頻繁に往復する人 | 広い範囲を一気に動かす作業が多い人、親指の付け根に負担を感じやすい人 |
| 人差し指操作の単体トラックボール | 人差し指と中指/4〜5cm前後 | 画像編集や図面のように細かい位置合わせが多い人、高解像度や複数画面の環境の人 | 置き場所の面積を確保できない人、右手を大きく外へ出したくない人 |
| 手のひら操作の大玉タイプ | 手のひらと指全体/5cm以上 | 長距離のポインタ移動が多い人、手が大きい人 | 手や指が小さめの人、机の奥行きが狭い人 |
| 左右対称形 | 製品により親指または人差し指 | 左手で操作したい人、左右で持ち替えて使い分けたい人 | 右手専用の形状で指を預ける安定感を求める人 |
向かない人の欄に自分が当てはまるなら、無理に合わせないほうがいい。
トラックボールは指の可動域と玉の位置が噛み合って初めて楽になる道具で、ここがずれたままでは使う時間が長いほど不満が積み上がります。
トラックボール選びで失敗しやすいのは、スクロールと配列の見落とし
いちばん多いのは、玉の操作性だけ見てスクロール手段を確認しないまま買ってしまう形です。
トラックボールのスクロールは、ホイール、リング、玉を傾ける方式、専用ボタンとの併用など製品ごとに違います。
表計算やブラウザで縦に長い画面を延々と送る人と、ほとんどスクロールしない人では、ここの重要度が逆転します。
次に、キーボード側の配列。
テンキー付きのフルサイズキーボードの右にトラックボールを置くと、右手が本体3列分ぶん外へ出ます。
持ち替えを減らすために導入したのに、腕の移動距離が伸びるという逆の結果になりかねません。
テンキーを切り離して別置きにするか、テンキーレスに替えるかで解決できます。
分けて買うときの接続と置き場所の考え方は、テンキーを別に買う条件で解説しています。
ご覧ください。
一体型でありがちなのが打鍵感の妥協です。
玉の配置が気に入っても、キースイッチが自分の好みと合わなければ、一日の大半を占める文字入力のほうが辛くなります。
軸ごとの重さや音の違いは、メカニカルの軸を重さと音で選ぶ基準で解説しています。
ご覧ください。
もうひとつ、厚みです。
玉を内蔵した本体は、ふつうのキーボードより高くなる製品があります。
手首が反った角度で固定されると、同じ姿勢を続けにくくなる。
高さの合わせ方はリストレストの高さと素材の目安で解説しています。
ご覧ください。
買う前に測るのは、机の奥行きと接続方式
カタログの寸法をそのまま見るのではなく、自分の机で測った数字と突き合わせます。
まずキーボードの奥行きと、その手前に残る余白。
単体トラックボールを右横に置くなら、キーボード右端から壁や机の端までの幅も測ってください。
大玉タイプは手のひらを預けるぶん、幅と奥行きの両方に余裕が必要です。
接続は、有線USB、専用レシーバーを使う2.4GHz無線、Bluetoothの3通りが主流です。
パソコンの電源を入れた直後やBIOS画面での操作を確実にしたいなら、有線かレシーバー方式のほうが向きます。
Bluetoothは机の上にレシーバー用のポートを空けずに済み、複数台をボタンで切り替えられる製品もある。
どちらが良いかは、使う機器の数と、起動時に操作したい場面があるかで決まります。
ボタン割り当てを変えたい場合は、設定用ソフトが自分のOSに対応しているかも確認してください。
Windows向けのみでmacOSやChromeOSでは使えない、という組み合わせは珍しくありません。
無線なら電源が乾電池か内蔵充電池かも見ておくと、使い方の想像が付きます。
そして机の高さと椅子の座面高。
手首の角度は、キーボードの厚みだけでなく肘の位置でも変わります。
座る側の条件をどう合わせるかは、自宅で疲れにくい一脚を選ぶ基準で解説しています。
ご覧ください。
使い始めてからは、玉と支持球の汚れが操作感を左右する
トラックボールは玉を数点の支持球(小さなボールやピン)で受けています。
ここに皮脂とホコリが混ざって溜まると、玉の転がりが引っかかるようになる。
「センサーが壊れた」と思った症状の多くは、この汚れです。
手入れは、玉を外して乾いた柔らかい布で拭き、受け側のくぼみに溜まった汚れを綿棒などで取るだけ。
潤滑剤を差したり本体を分解したりする必要はありません。
使う頻度によりますが、動きが渋くなったと感じたタイミングで見るくらいで足ります。
操作に慣れるまでの期間は人によって差があります。
共通して効くのは、最初はポインタ速度を普段のマウスより遅めに設定して、狙った場所で止める感覚を先に作ること。
速度を上げるのは止められるようになってからです。
なお、トラックボールは面を滑らせないので、動かすためのマウスパッドは要りません。
ただし本体が軽い製品だと、玉を強く回したときに本体ごとずれることがある。
滑り止めを兼ねてパッドを敷く選択肢もあり、素材ごとの違いは素材とサイズで変わる使い心地で解説しています。
ご覧ください。
使っていて手や手首に痛みが出る場合は、道具の調整だけで判断せず、医療機関に相談してください。
よくある質問
トラックボールに慣れるまでどのくらいかかりますか
個人差が大きく、一律の期間は言えません。
傾向として、文字入力の合間のカーソル移動のような短距離の操作は早く馴染み、細かい範囲選択やドラッグに苦労する人が多いようです。
仕事の締め切り直前に切り替えるのは避け、余裕のある時期から使い始めるのが無難でしょう。
ゲームでも使えますか
用途によります。
素早く大きく振り向く操作が求められるタイトルでは、腕全体を使えるマウスのほうが有利とされます。
一方で、カーソルを画面上の対象に合わせる種類のゲームや、長時間の操作が中心のものなら不都合は少ない。
ゲームと仕事で使い分けて、両方を机に置いている人もいます。
キーボードと一体になった製品と、別々に買うのはどちらが得ですか
金額ではなく、変えられる余地で考えてください。
一体型は占有面積が小さく配線も少ない代わりに、玉の位置とキー配列がセットで固定されます。
別々に買えば、どちらか片方だけを後で交換できる。
自分の手に合う配置が分かっていないうちは、後から動かせる構成のほうが軌道修正しやすいはずです。
左利きでも使えますか
左右対称形の製品なら左手でも使えます。
右手専用の形状は、指を預ける傾斜やボタンの配置が右手前提なので、左手では扱いにくい。
左右で持ち替えて使いたい場合は、購入前に対称形かどうかを形状の写真で確かめておくとよいでしょう。
玉が引っかかるようになりました。買い替えたほうがいいですか
先に掃除を試してください。
玉を外し、玉の表面と受け側のくぼみの汚れを落とすだけで戻る例が多いです。
それでも特定の方向だけ反応しない、カーソルが飛ぶといった症状が残るなら、センサーや支持球の摩耗が疑われます。
保証期間内ならメーカーの窓口に相談を。
まとめ
トラックボール付きキーボードを選ぶ順番は、玉を回す指から。
親指型は置き場所を取らず、人差し指型や大玉タイプは長距離の移動と細かい位置合わせに強い、という違いがそのまま向き不向きになります。
そのうえで、一体型にするか別々に並べるかを、机の余白とキー配列のこだわりで決める。
スクロールの方式と接続方式は、買ってから変えられません。
まずはメジャーで、キーボードの右端から机の端までの幅と、手前に残る奥行きを測ってみてください。
その数字を持って、自分の手に合う玉の大きさから絞り込んでいただければと思います。
