キーボードの選び方|方式とサイズで決まるおすすめの基準
キーボード選びで最初に決めるべきなのは、色や見た目ではなく「キーの押し方」です。
同じ英字配列でも、メカニカル・パンタグラフ・メンブレンで押し込む深さと戻る力が違い、1日6時間打つ人はここで指の疲れ方が変わります。
次に効くのが横幅。
テンキーを落とすかどうかだけで、机の上に残るマウスの動作スペースが数センチから十数センチ単位で変わります。
売り場では「静音」「無線」「軽い打ち心地」といった言葉が並びますが、どれも自分の使い方に照らさないと判断できません。
本ページでは、押し心地を決める構造の違い・配列とサイズの決め方・接続方式で変わる使い勝手・買う前に測っておく数字まで、まとめて紹介します。
キーボードのおすすめを絞るなら、まず押し込む深さと横幅から決める
選ぶ軸はいくつもありますが、最初に決めるべきものは2つです。
ひとつは打鍵の深さ、もうひとつは本体の横幅。
打鍵の深さは、キーを底まで押し込むまでの距離のことです。
数ミリの差ですが、1日に何千回も繰り返す動作なので、指の疲れ方や打ち間違いの起きやすさに直結します。
深く沈むタイプは押した感触がはっきりして誤入力に気づきやすい反面、指を持ち上げる回数ぶんの動きが増えます。
浅いタイプは指の移動が小さくて済みますが、押した感覚が薄いため、力を入れすぎて底を叩き続ける癖が付く人もいます。
どちらが良いという話ではなく、いま使っているノートパソコンのキーボードで疲れを感じているかどうかが判断材料になります。
横幅は、机の上の面積配分の問題です。
テンキー付きのフルサイズは数字入力が速い代わりに、本体の右側だけで8cm前後を占めます。
その結果、マウスを動かす位置が右に押し出され、肩から先を大きく開いた姿勢になりやすい。
数字入力が業務の中心でないなら、テンキーを落として手元を体の正面に近づけたほうが、長時間の姿勢は楽になります。
マウスの動かしやすさは敷くものでも変わるので、面積が足りないと感じているなら、素材とサイズで変わる使い心地で解説しています。
ご覧ください。
接続方式や静音性は、この2つを決めたあとに絞り込む条件です。
順番を逆にすると、無線で静音なのに手に合わないものが手元に残ります。
キーボードの種類は、キーの下に何が入っているかで分かれる
方式の名前は、キーを押したときに動く部品の違いを指しています。
カタログの言葉だけ覚えても意味がないので、押した結果どう変わるかまでセットで押さえてください。
メカニカル
キー1個ごとに独立したスイッチが入っている構造です。
スイッチの種類で押し込む重さと音が変わり、軽くて静かなもの、はっきりした感触があるもの、カチッと音が鳴るものと選べます。
1個ずつ独立しているぶん、同時に複数のキーを押しても入力が抜けにくく、キーだけを交換して調整する余地もあります。
反面、本体は厚く重くなり、価格帯は他方式より上に寄ります。
スイッチごとの違いや音の傾向は、打ち心地と音の違いで解説しています。
ご覧ください。
パンタグラフ
キーの下にX字のリンク機構が入っていて、キーの端を押しても平行に沈む構造です。
ノートパソコンに多く採用されている方式で、打鍵は浅く、指を大きく持ち上げずに打てます。
本体を薄く作れるため、机の上での存在感が小さい。
ただしキーを外して洗うような手入れはしにくく、機構が壊れた場合は個別に直せません。
方式そのものの特徴は、他方式との違いと選び方で解説しています。
ご覧ください。
メンブレン
ゴム状のシートの弾力でキーを戻す構造です。
部品数が少なく、量販店の売り場でいちばん多く見かける方式。
押し込むと途中でぐにゃりとした感触があり、底まで押さないと入力されないタイプが多いので、しっかり打つ癖のある人には向きます。
安価な製品が多い一方、キーの位置によって押し心地がばらつくことがあります。
静電容量無接点
接点の接触ではなく、静電容量の変化で入力を検知する方式です。
物理的な接点がないため接触部の摩耗が起きにくく、押し込む途中で入力が確定するタイプもあります。
専門店寄りの価格帯で、店頭で試せる場所も限られます。
触ってから決めたい方式です。
タイプ別に、どういう作業の人が合うか
方式と配列の組み合わせで、向く作業がだいたい決まります。
自分の作業時間と机の広さを当てはめてください。
| タイプ | 構造上の特徴 | 向いている人 | 向かない人 |
|---|---|---|---|
| メカニカル(テンキーレス) | キーごとに独立したスイッチ。打鍵は深め、本体は厚く重い | 文章を長時間打つ人。押した感触をはっきり感じたい人 | 同室に人がいて打鍵音を抑えたい人。持ち運ぶ人 |
| パンタグラフ(薄型) | X字リンクで平行に沈む。打鍵が浅く本体が薄い | ノートパソコンの打ち心地に慣れている人。机が狭い人 | 底打ちの感触がないと打ちにくい人。キーを外して掃除したい人 |
| メンブレン(フルサイズ) | ゴムシートの弾力で戻る。テンキーあり | 数字入力が多い人。まず1台使ってみたい人 | マウスの動作範囲を広く取りたい人 |
| 静電容量無接点 | 接点がなく、押し込む途中で入力が確定するものもある | 1日中打鍵する人。指の負担を細かく詰めたい人 | 店頭で試さずに買いたい人 |
| 分割型 | 左右が離れていて、肩幅に合わせて配置できる | 肩や手首の開きが気になる人。姿勢を含めて見直したい人 | 配列に慣れる時間を取れない人 |
分割型は、両手を肩幅に置いたまま打てるのが構造上の狙いです。
手を体の中心に寄せる必要がないため、肩を内側に巻き込んだ姿勢になりにくい。
ただし左右が別体になることで指の担当範囲が変わり、慣れるまでは入力速度が落ちます。
効き方と選び方は、肩と手首への効き方で解説しています。
ご覧ください。
キーボードの接続方式は、遅延より電源と併用台数で選ぶ
無線と有線の差を「遅延」だけで語ると判断を誤ります。
自宅の机で文書を打つ用途なら、体感差より運用の差のほうが大きく効きます。
無線には、USBレシーバーを挿して使う専用方式とBluetoothがあります。
専用レシーバー方式はパソコン側にUSB端子を1つ使いますが、起動直後から反応することが多く、つながりの安定を優先するならこちら。
Bluetoothは端子を占有せず、複数の機器を登録して切り替えられるものもあります。
パソコンとタブレットを行き来する使い方なら、切り替えボタンの有無を仕様で確認してください。
電源は乾電池式と内蔵充電池式に分かれます。
乾電池式は切れたら入れ替えるだけで復帰でき、充電池式はケーブル1本で済む代わりに、電池が劣化したときに自分で交換できない製品もあります。
どちらも使用条件で持ちが大きく変わるので、公表されている時間はあくまで目安です。
接続方式ごとの向き不向きと電池の考え方は、接続方式と電池の目安で解説しています。
ご覧ください。
有線は電源の心配がなく、挿せば動きます。
机から動かさない前提なら、いちばん手間が少ない。
ただしケーブルが天板の上を横切るため、配線の取り回しは考えておいてください。
キーボードの選び方で失敗しやすいのは、静音と配列の思い込み
ミスマッチの多くは、カタログの一語を自分の状況に当てはめないまま買ったときに起きます。
ひとつは「静音」の解釈です。
静音と書かれた製品は、同じ方式の標準品と比べて音を抑える設計になっているという意味で、無音ではありません。
キーが底に当たる音、指がキートップを叩く音は残ります。
同じ部屋で家族が寝ている、通話中にマイクが拾うといった条件があるなら、方式そのものを浅打ちのパンタグラフ側に寄せたほうが結果が近づきます。
もうひとつは配列です。
日本語配列と英語配列では、Enterキーの形、記号の位置、変換キーの並びが違います。
英語配列は記号を打つ位置が整っている一方、かな変換の操作を設定で作り直す必要が出る場合があります。
ふだん会社で使っている配列と別のものを自宅に置くと、行き来のたびに記号を打ち間違えます。
慣れの問題ではあるものの、両方を毎日使うなら揃えるほうが無難です。
3つめは、キーピッチの読み落とし。
フルサイズは19mm前後が標準ですが、コンパクトを名乗る製品では17mm台まで詰めているものがあります。
数値では2mmの差でも、10キー分横に並べば2cm近くずれます。
手が大きい人ほど、この詰まりが打ち間違いにつながります。
買う前に測るのは、天板の奥行きとキーピッチの2か所
届いてから合わないと分かるのは、たいてい寸法です。
注文前に手を動かして確かめられるのは次の数字です。
天板の奥行き
キーボードの奥行きと、手前に置くパームレスト分を足した長さが収まるか。奥行きが浅い机では、キーボードを置くと手首が天板の縁に乗ります。
横幅とマウスの位置
本体の横幅を実測し、右側にマウスを動かす幅が残るか。テンキー付きは右側に8cm前後が加わる前提で見る。
キーピッチ
いま使っているキーボードの、キー中心から隣のキー中心までを定規で測る。その数字を候補製品の仕様と突き合わせる。
キーの高さ
手前側の厚みが2cmを超えると、手首を反らせた姿勢になりやすい。パームレストを併用するか、薄型を選ぶかの分岐点になります。
手首の角度は、椅子と机の高さでも変わります。
キーボードだけを替えても手首の反りが直らないなら、座面の高さと天板の関係を先に見直したほうが早い。
座る側の条件は、自宅で疲れない一脚を選ぶ基準で解説しています。
ご覧ください。
使い始めてからの手入れと、買い替えを考える目安
キーボードは机の上で最も長く触る道具なので、汚れ方も早い。
方式によって手入れの範囲が変わります。
メカニカルはキートップを引き抜ける製品が多く、外して隙間のほこりを払えます。
抜くときは専用の引き抜き工具を使い、無理にこじらないこと。
パンタグラフはキーの下に細いリンクが入っているため、力任せに外すと戻せなくなります。
表面を柔らかい布で拭く程度にとどめ、隙間はエアダスターで吹く方向にしてください。
いずれの方式でも、水気を含ませた布で強く拭くのは避けます。
買い替えを考える目安は、特定のキーだけ反応が鈍くなったとき。
メカニカルはスイッチ単位で交換できる設計のものもありますが、シート構造の製品では一部だけ直す方法がありません。
同じキーが二重に入力される、押しても入らないという症状が続くなら、本体ごとの交換を前提に見ておいたほうが判断が早い。
もうひとつの買い替え理由は、手首や肩の不調です。
長時間の作業で痛みが出る場合、道具を替えて改善するかどうかは体格や机の高さによって変わります。
症状が続くようなら、道具を買い足す前に医療機関に相談してください。
よくある質問
メカニカルとパンタグラフ、長時間の作業ならどちらですか
作業時間の長さだけでは決まりません。
指を深く沈めて打つ感触があったほうが打ち間違いに気づきやすい人はメカニカル、指の上下移動を小さくしたい人はパンタグラフです。
いま使っているノートパソコンで疲れを感じていないなら、パンタグラフのほうが違和感が少ない選択になります。
テンキーは無いと困りますか
数字を連続して入力する作業が日常的にあるかどうかで判断してください。
表計算に数字を打ち込む時間が長いなら付いていたほうが速い。
文章中心なら、上段の数字キーで足ります。
外付けのテンキーを別に置く方法もあり、必要なときだけ手元に出す運用ができます。
静音タイプなら夜でも打てますか
音は小さくなりますが、無くなるわけではありません。
キーが底に当たる音や指がキートップを叩く音は残るため、隣室に人がいる状況では聞こえる可能性があります。
打鍵の深さが浅い薄型のほうが、動く距離が短いぶん音の出方は控えめです。
英語配列に替えると入力しにくくなりますか
記号の位置とEnterキーの形が変わるので、最初は打ち間違えます。
加えて、かな漢字変換の切り替え操作を設定で割り当て直す必要が出る場合があります。
会社と自宅で行き来するなら、配列は揃えたほうが混乱が少ない。
ゲームにも使うなら何を見ればいいですか
複数のキーを同時に押したときの入力の扱い(同時押し対応の範囲)と、キーの割り当てを変えられるかを仕様で確認してください。
キーごとに独立したスイッチを持つメカニカルは、この点で構造的に有利です。
まとめ
キーボードは、押し込む深さと横幅の2つを決めれば、候補がかなり絞れます。
方式の名前は、キーの下に入っている部品の違いを指しているだけなので、深く沈むほうが合うのか浅いほうが合うのかを、いま使っている機種の感触から逆算するのが早い。
静音と配列は、自分の部屋の状況と会社の環境に照らして決める話です。
まずは手元のキーボードでキーピッチを定規で測り、天板の奥行きとマウスを動かす幅を書き出してみてください。
その数字を候補製品の仕様と突き合わせれば、届いてから合わないという事態はかなり減ります。
