テンキーレスキーボードの利点|幅の違いと向いている人
テンキーレスを検討するとき、最初に見るべきは横幅です。
フルサイズのキーボードは一般に横幅440mm前後、テンキーを落とした配列なら360mm前後まで縮みます。
この8cmほどの差が、マウスを動かせる面積にそのまま乗ってきます。
ただ、幅が縮んだぶん右側のキー配置が製品ごとに変わるため、矢印キーやDeleteの位置で「前と同じように打てない」となることも珍しくありません。
本ページでは、机の上で8cm縮むと何が変わるか・矢印キーの並べ方で分かれる3タイプ・数字入力が多い人がテンキーを別に足す条件・買う前に天板を測る場所まで、まとめて紹介します。
テンキーレスキーボードで最初に効くのは、横幅とホームポジションの位置
テンキーレスは「テンキー(右側の数字キーの島)を省いた配列」を指し、英語では TKL(TenKeyLess)と表記されます。
省かれるのは17〜18キーぶん、横幅にして70〜90mm程度。
この数字だけ見ると小さな差に思えますが、効き方は2通りあります。
ひとつは単純にマウスの可動域が広がること。
もうひとつが、体の正面とキーボードの中心のずれが小さくなることです。
フルサイズを机の中央に置くと、アルファベット部分の中心は左に寄ります。
体の正面に文字キーを合わせると、今度はキーボード全体が左へ大きく張り出す。
テンキーレスならこのねじれが減り、右手を大きく開かずにマウスへ届きます。
肩の開きや手首の角度が変わるので、長時間の作業で楽になったと感じる人は確かにいます。
ただし体格・机の奥行き・椅子の高さで結果は変わるため、誰にでも同じ効果が出るとは言えません。
姿勢由来の痛みが続く場合は、キーボードより先に机と椅子の高さを見直したほうが早いこともあります。
座面と天板の関係については、自宅で疲れない一脚を選ぶ基準で解説しています。
ご覧ください。
逆に言えば、マウスをほとんど使わない作業(伝票入力、経理、データ打ち込み)では、この利点はほぼ効きません。
数字を叩く回数が多い人にとって、テンキーレスは単純に不便な配列です。
テンキーレスキーボードは、右側のキーの並べ方で3タイプに分かれる
「テンキーレス」とひとくくりに呼ばれていても、中身は右側の処理で分かれます。
売り場の写真では同じような形に見えるので、ここを見落とすと届いてから戸惑います。
フルサイズから素直にテンキーだけ抜いた配列
Insert・Delete・PageUp・PageDownの6キーが独立して残り、その下に矢印キーが逆T字で並ぶ形。
いわゆる87キー・91キー前後の配列で、TKLと言えばまずこれを指します。
フルサイズからの乗り換えで指の記憶が崩れにくいのが最大の利点。
横幅は360mm前後が目安です。
ファンクション列を残しつつ、右側をさらに詰めた配列
75%配列と呼ばれる形で、Delete列を縦一列に押し込み、矢印キーを文字キーの右下に食い込ませています。
横幅は320mm前後まで縮む一方、右Shiftが短くなったり、矢印の上キーがShiftと隣り合ったりする。
文章を書きながら矢印で行き来する人は、この隣接で誤打が出やすくなります。
ファンクション列も省いた配列
65%・60%と呼ばれる範囲。
F1〜F12をFnキーとの同時押しに割り当てるため、横幅は300mm前後、あるいはそれ以下。
ただしこれをテンキーレスと呼ぶかは売り場の表記次第で、「コンパクト」「ミニ」の名前で並んでいることも多い。
Excelでの再計算や変換確定でF列を叩く習慣がある人には、同時押しの手間が毎回のっかります。
どのタイプでも、右側にトラックボールを組み込んだ製品や左右に分割した製品など、配列自体を作り替えた選択肢もあります。
ポインタ操作まで手元で完結させたい場合の考え方は、トラックボールを内蔵するタイプの向き不向きで解説しています。
ご覧ください。
タイプ別に向いている人と、向かない人
キー数と横幅、そして「何を諦めるか」を並べると、自分がどこに当てはまるかが見えます。
数字はいずれも一般的な目安で、製品によって前後します。
| タイプ | 横幅の目安 | 省かれるもの | 向いている人 | 向かない人 |
|---|---|---|---|---|
| TKL(87キー前後) | 360mm前後 | テンキーのみ | フルサイズから移りたい人。Delete・PageUpを独立キーで押したい人 | 机の奥行きが狭く、あと数cm削りたい人 |
| 75%配列 | 320mm前後 | テンキーと右側の余白 | F列は残したいが幅は最小にしたい人 | 右Shiftと矢印を頻繁に併用する人 |
| 65%・60%配列 | 300mm前後かそれ以下 | テンキー、F列、一部は矢印まで | 持ち歩く人。文字入力が作業の大半を占める人 | F列やNumLockを日常的に使う人 |
| テンキーレス+別体テンキー | 本体360mm+テンキー分 | 常設の数字キー | 数字入力が週に数回ある人。左手側にテンキーを置きたい人 | 数字入力が業務の中心の人 |
最後の行が現実的な落としどころになる人は多いはずです。
ふだんはテンキーレスで机を広く使い、必要な日だけ数字の島を出す。
接続方式と置き場所の考え方は、テンキーを別に買うときの接続と配置の目安で解説しています。
ご覧ください。
テンキーレスに替えて後悔しやすいのは、数字と矢印の二か所
失敗の型はだいたい決まっています。
ひとつは数字入力の頻度を過小に見積もるパターン。
「表計算はときどきしか使わない」と思っていた人が、月末の集計で毎回ストレスを抱える。
上段の数字キーは打てますが、テンキーのように手を置いたまま連続入力はできません。
10桁以上の数値を何十件も入れる作業なら、素直にフルサイズか別体テンキーを選んだほうが作業は楽になります。
もうひとつは矢印キーまわり。
75%以下の配列では矢印が他のキーと隣接するため、文章を推敲しながらカーソルを動かす作業で誤打が増えます。
プログラムを書く人、長文を編集する人は、矢印が逆T字で独立しているかを写真で確認してください。
上キーだけが1段上がっている配列は、指の当たりが変わります。
三つめは、NumLockやテンキーを前提にしたソフトの操作。
CADや会計ソフト、ゲームのショートカットにテンキー側の数字を割り当てているケースがあり、上段の数字キーでは別の入力として扱われることがある。
使っているソフトのキー設定を先に見ておくと、この事故は避けられます。
買う前に測るのは天板の奥行きと、マウスを振る幅
横幅の数値を見る前に、机を測ってください。
見るのは2か所です。
ひとつは天板の奥行き。
キーボード手前に手首を置く余地が10cm前後ないと、手首を浮かせたまま打つことになります。
奥行き60cmの机にモニターを直置きしていると、ここが足りなくなりがち。
もうひとつはキーボード右端からマウスパッドの右端までの距離です。
マウスを大きく振る人なら30cm前後、細かい操作が中心なら20cm前後あれば足ります。
フルサイズを置いた状態でこの幅が確保できていないなら、テンキーレスに替える効果は大きく出ます。
あわせて見ておきたいのがキーボード本体の奥行きと高さ。
TKL配列でも奥行きは130〜150mm程度あり、パームレストを足せばさらに前へ出ます。
高さは手前側で20〜40mmが一般的で、チルトスタンドを立てると角度が付く。
角度を付けるほど手首が反るので、机の高さが合っていない人は角度を寝かせたほうが楽になることもあります。
マウス側の面積が確保できたら、次に効いてくるのは表面の素材です。
滑り出しの重さや手入れの手間がどう変わるかは、素材とサイズで変わる使い心地で解説しています。
ご覧ください。
硬い面での操作感が気になる人向けの選択肢は、ガラス製の特徴と向いている使い方で解説しています。
テンキーレスキーボードの接続方式とキースイッチ、どちらを先に決めるか
先に決めるのは接続方式です。
理由は単純で、後から変えられないから。
USB有線は電池切れがなく遅延も小さい一方、机の上にケーブルが1本走ります。
Bluetoothは配線が消え、タブレットとの併用もしやすいものの、機器側の対応と再接続の待ち時間が付いてきます。
2.4GHzのUSBレシーバー方式は専用ドングルを1つ占有するかわりに、接続の安定を取りやすい。
複数機器を切り替えて使う人は、有線と無線を両方持つハイブリッド型を選んでおくと選択肢が広がります。
そのうえでキースイッチ。
テンキーレスかどうかとは独立した論点ですが、同じ配列でも打鍵感と音量はここで大きく変わります。
メンブレンは静かで安価な傾向、メカニカルは押し込む重さや音を軸の種類で選べる、静電容量無接点は独特の押し感を持つ。
在宅で通話しながら打つなら、静音を名乗るタイプを候補に入れておくと家族や通話相手への音の届き方が変わります。
赤軸・青軸といった表記が何を意味するのかは、軸の重さと音で選ぶ基準で解説しています。
ご覧ください。
キー配列も見落としやすい点。
日本語配列(JIS)と英語配列(US)ではEnterの形、変換キーの有無、記号の位置が違います。
テンキーレスの製品は英語配列のほうが選択肢が多い傾向にあり、写真だけで判断すると届いてから記号を探すことになります。
よくある質問
テンキーレスとコンパクトキーボードは同じものですか
重なる部分はありますが、同じではありません。
テンキーレスはテンキーを省いた配列を指す言葉で、ファンクション列と矢印キーは残っているのが基本。
コンパクトやミニという呼び名はF列や矢印まで省いた製品にも使われます。
売り場の表記だけで判断せず、写真でキーの並びを確認してください。
数字入力が多い仕事ですが、机を広くしたいです
テンキーレス本体と別体のテンキーを組み合わせる形が現実的でしょう。
数字を打たない日はテンキーを片付けられ、左手側に置く配置も選べます。
ただし毎日何時間も数値を入力するなら、キーの位置が固定されているフルサイズのほうが打ち間違いは減ります。
テンキーレスにすると肩や手首が楽になりますか
マウスまでの距離が縮むぶん腕の開きは小さくなりますが、楽になるかどうかは体格・机の高さ・作業時間で変わります。
配列を変えても痛みが残る場合は、まず天板と椅子の高さの関係を見直してください。
症状が続くようなら医療機関に相談を。
ゲーム用途でもテンキーレスは選べますか
選べます。
マウスを大きく振る操作がしやすくなるため、この配列を好む人は少なくありません。
注意するのはテンキー側の数字にショートカットを割り当てているタイトル。
上段の数字キーとは別の入力として扱われる場合があるので、キー設定を先に確認しておくといいでしょう。
キーボードを2枚に分けるタイプとは何が違いますか
テンキーレスは1枚のまま横幅を縮める方法、分割タイプは左右を離して肩の開きを調整する方法です。
目的が違います。
左右を離す配置に興味があるなら、分割型とトラックボールの組み合わせ方で解説しています。
ご覧ください。
まとめ
テンキーレスを選ぶかどうかは、数字入力の頻度とマウスを振る幅で決まります。
フルサイズから8cm縮めた面積がマウスに回るのが利点で、その代償として数字の連続入力とF列・矢印キーの押しやすさを手放すことになる。
どこまで削れるかは、TKL・75%・65%の3タイプで段階的に変わります。
まずは今の机で、キーボード右端からマウスを振り切る位置までを測ってみてください。
その数字が20cmを切っているなら、配列を変える効果は実感しやすいはずです。
本記事を参考に、自分の作業内容に合う配列を選んでいただければと思います。
