安いモバイルモニターの注意点|省かれやすい仕様の見方
同じ15.6インチのモバイルモニターが、売り場では二段階も三段階も違う値付けで並んでいます。
差がついているのは画面の大きさではなく、パネルの種類、付属ケーブルの本数、それにスタンドの作りです。
安い側はTNパネルで斜めから見ると色味が変わったり、モニター側の端子がmini HDMIなのに変換ケーブルが別売だったりします。
ただ、削られた部分が自分の使い方に関係しないなら、そこは払わなくていいお金。
どこを削った結果その値付けになっているのかが分かれば、必要のない上位モデルへ手を伸ばさずに済みます。
本ページでは、USB-C1本で映るかどうかの見分け・値段が下がるときに削られる部分・タイプ別に向いている人・買う前に机で測る場所まで、まとめて紹介します。
安いモバイルモニターは、電源をどこから取るかで使い勝手が変わる
スペック表でいちばん先に見てほしいのは、解像度ではなく入力端子の並びです。
USB-Cケーブル1本で映像と電源をまとめられるモデルなら、机の上に走るケーブルは1本で済みます。
HDMIで映像を入れるモデルは、別にUSBから電源を取るので2本。
この差は毎日抜き差しする人にはかなり大きく、持ち歩くときの荷物にもそのまま出ます。
ただし、USB-C端子が付いていれば1本で映る、とはなりません。
映像を通すにはパソコン側のUSB-CがDisplayPort Alternate Mode(USB-Cの端子から映像信号を出す仕組み)に対応している必要があり、端子の形が同じでも対応していない機種があります。
手持ちのパソコンの仕様表で、USB-Cの項目に映像出力の記載があるかを確認してください。
記載が見つからないなら、HDMI入力も持つモデルを選んだほうが確実に使えます。
もうひとつ引っかかりやすいのがケーブルです。
充電用として売られているUSB-Cケーブルは映像信号を通さないものがあり、付属品ではなく手元のケーブルで代用しようとして映らない、という詰まり方をします。
安いモデルでは付属ケーブルが1本だけ、というケースもあるので、同梱物の欄も見ておきたいところ。
給電が5VのUSB端子からだと輝度に制限がかかる設計の製品もあり、明るさが物足りないときは電源側を疑う余地があります。
価格が下がるときに削られているのは、解像度・パネル・付属品
13.3〜15.6インチの価格帯で数がいちばん多いのは、1920×1080(フルHD)で60Hz、IPSパネルという組み合わせです。
ここから安い側へ行くと、まずパネルがTNに変わります。
TNは応答が速い反面、視野角が狭く、少し斜めから見ると明るさや色が変化します。
自分ひとりが正面で使うなら気になりにくく、机の横に置いて首を振って見る配置だと差が出やすい。
IPSは視野角が広く、色の変化も穏やかです。
反対に高い側へ行く要素は、3840×2160(4K)、120Hz以上のリフレッシュレート、有機ELパネル、タッチ対応。
このうち4Kは、13.3インチクラスだと文字が小さくなりすぎて拡大表示で使うことになり、結果としてフルHDと作業量が変わらない場面があります。
4Kが効くのは画面サイズと表示倍率の組み合わせしだいで、そのあたりは4Kが必要になる画面サイズの目安で解説しています。
ご覧ください。
付属品も価格差の出どころです。
保護カバー兼スタンド、mini HDMI変換ケーブル、USB-Cケーブル、電源アダプタ。
この4点のうち何本入っているかで、買ったあとに追加で払う金額が変わります。
表示の性能を落とさずに安く上げたいなら、パネルはIPSのフルHDで据え置いて、付属品が少ないモデルを選んで手持ちのケーブルを流用する、という削り方が現実的です。
接続方式で分かれる3タイプと、映らないときに疑うところ
USB-C1本で映像と電源をまとめる型
ケーブル1本で完結するので、ノートパソコンの横に広げる用途にいちばん向きます。
ただし映像はパソコン側のUSB-Cの対応に依存し、さらにパソコンからモニターへ電力を送るぶん、ノート本体のバッテリーは減りが早くなります。
長時間の外出先での使用なら、モニター側に別途給電できる端子があるかを見ておくと安心です。
HDMI入力とUSB給電を組み合わせる型
映像はHDMI、電源はUSBという分業型。
パソコン側のUSB-C対応を気にせず使え、ゲーム機や据え置きの機器にもつなげます。
モニター側の端子はmini HDMIかmicro HDMIが多く、標準サイズのHDMIケーブルはそのままでは差せません。
変換ケーブルが付属するか、別に買う必要があるかを確認してください。
バッテリーを内蔵して単体で動く型
コンセントもUSB給電もない場所で使えるのが強みですが、そのぶん重くなり、価格も上がります。
数百グラムの増加は、毎日カバンに入れる人には無視できない差。
据え置きで机に置いたままにするなら、内蔵バッテリーはコストを払う意味が薄い部分です。
映らないときに疑う順番は、ケーブル、パソコン側の対応、給電の3つ。
付属ケーブルを別のものに替えていないか、パソコンのUSB-Cが映像出力に対応しているか、USBハブ経由で電力が足りていないか。
この順に潰していくと、たいていどこかで引っかかります。
タイプ別に向いている人と、安いモデルでは足りない使い方
| タイプ | 構造上の特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| USB-C1本・フルHD・IPS | ケーブル1本で映像と電源。60Hz、視野角は広い | ノートパソコンの横に資料を並べたい人。持ち歩く頻度が高い人 |
| HDMI入力+USB給電 | 映像と電源が別配線。パソコン側のUSB-C対応を問わない | 古いノートを使っている人。ゲーム機や録画機にもつなぎたい人 |
| TNパネル・フルHD | 視野角が狭く、斜めから見ると色が変わる | 正面に据えて自分だけで見る人。安さを最優先する人 |
| バッテリー内蔵 | 電源が取れない場所でも動く。重量と価格が上がる | 電源のない現場や車内で使う人 |
| 4K・高リフレッシュレート | 解像度や滑らかさを優先。価格帯は上がる | 写真や動画の色を見る人。ゲームの動きを重視する人 |
逆に、安いモデルでは足りない使い方もはっきりしています。
写真や動画の色を判断する作業は、色域の記載がないパネルだと確認の役に立ちません。
何人かで画面をのぞき込む打ち合わせにTNパネルを持ち込むと、席の位置で見え方が変わります。
ゲームの動きを重視する人が60Hzのモデルを買うと、パソコン側の性能を活かしきれません。
この3つに当てはまるなら、削る対象はパネルではなく付属品や画面サイズにしたほうが後悔が少ない。
スタンドと内蔵スピーカーは、安いモバイルモニターでしわ寄せが出やすい
画面の仕様が同じでも、満足度を左右するのはスタンドです。
安い価格帯で多いのは、保護カバーを折り曲げて立てる兼用式。
角度が数段階に固定され、細かく合わせられません。
カバーを畳んだ厚みぶん、モニターが手前に張り出すので、机の奥行きも余分に食います。
ノートパソコンの背後に立てる配置だと、この張り出しが効いてキーボードとの距離が詰まります。
角度をきちんと合わせたい、または高さを画面の上端が目線あたりに来るところまで上げたいなら、別売のスタンドを足す前提で本体を安く抑えるという買い方が成り立ちます。
角度調整の幅と土台の安定性の見方は、スタンドの角度と安定性の目安で解説しています。
ご覧ください。
アームで浮かせたい場合は、背面にVESAのネジ穴があるかが分かれ目です。
VESAは背面のネジ穴の間隔をミリで表した規格(75×75mmなど)で、薄型のモバイルモニターは穴そのものを持たない製品が少なくありません。
穴がなければ、挟み込み式のホルダーを使うか、アームを諦めることになります。
対応条件はアームを使うための対応条件で解説しています。
ご覧ください。
内蔵スピーカーも期待しすぎないほうがいい部分です。
筐体が薄いので低音は出ず、通知音や会議の声が聞き取れる程度。
音を使う作業があるなら、スピーカーの有無を選定条件から外し、手元のイヤホンを前提にすると選択肢が広がります。
モバイルモニターを買う前に測る机の奥行きと、確かめる端子
注文前に測るのは2か所です。
ひとつは机の奥行き。
ノートパソコンの奥にモニターを立てるなら、パソコンの奥行きにスタンドの張り出しを足した長さが天板に収まるかを見ます。
もうひとつは、モニターを置く位置からパソコンの端子までの距離。
付属ケーブルが1mに届かない製品もあり、机の端にパソコンを置く配置だと届きません。
確かめるのはパソコン側の端子です。
USB-Cが映像出力に対応しているか、HDMIならフルサイズかmini/microか、変換が必要ならどちら向きの変換なのか。
ここを外すと、届いたのに映らないという事故になります。
縦向きに立てて長い文書を読みたい人は、スタンドが縦置きに耐える形かと、表示の回転をパソコン側の設定でできるかの両方を見てください。
条件は縦置きにするための対応と設置の注意で解説しています。
ご覧ください。
重さも数字で押さえておきたいところ。
15.6インチのモバイルモニターは本体だけで700g〜1kg前後が一般的で、これにカバーとケーブルが加わります。
毎日持ち歩くなら、13.3インチに落として軽さを取る判断も現実的です。
画面サイズと重量、解像度の兼ね合いをどう決めるかは、持ち運べる画面を選ぶ基準でまとめています。
ご覧ください。
よくある質問
安いモバイルモニターでも画質は普通に使えますか
作業用の表示という前提なら、フルHDのIPSパネルであれば実用になります。
差が出るのは色の正確さと視野角で、写真の色を判断する用途や、複数人で画面を見る場面では物足りなさが出ます。
仕様表にパネル種別の記載がない製品は、TNの可能性を想定しておくのが無難です。
ゲーム機につないでも使えますか
HDMI入力を持つモデルなら映せます。
ただしモニター側の端子がmini HDMIやmicro HDMIのことが多く、変換ケーブルが要ります。
リフレッシュレートが60Hzの製品では、それ以上の滑らかさは出ません。
動きの速いゲームを重視するなら、その項目の数値を先に見てください。
スマートフォンやタブレットの画面も映せますか
機器側のUSB-Cが映像出力に対応していれば映ります。
対応の有無は機種ごとに違い、同じメーカーの同じ形の端子でも分かれるので、手持ちの機種名で仕様を確認するしかありません。
加えて、スマートフォンからモニターへ給電させると本体のバッテリーが早く減るため、モニター側に別途給電できる構成が現実的です。
安く抑えるなら、どこを削るのがいちばん無理がないですか
付属品とスピーカー、それに画面サイズ。
ケーブルは手持ちを流用でき、音はイヤホンで代われます。
逆にパネル種別と入力端子の構成は、買ったあとに取り返せない部分。
ここを削ると、使うたびに不満が出ます。
まとめ
モバイルモニターの値段の差は、パネル、解像度、リフレッシュレート、そして付属品とスタンドに出ます。
自分の使い方に効かない項目を削れば安く上がり、入力端子とパネル種別を削ると毎日引っかかる。
この線引きが分かっていれば、価格帯の上から順に見る必要はありません。
まずは手持ちのパソコンの仕様表で、USB-Cが映像出力に対応しているかを確かめてください。
そのうえで机の奥行きを測り、置ける大きさから候補を絞る。
この2つを先に済ませてから、自分の作業に合う一台を選んでいただければと思います。
