雷ガード付き電源タップの選び方|効果の範囲と目安
同じ棚に、「雷ガード」と書かれた電源タップと、何も書かれていないものが並んでいます。
形はほとんど同じ。
雷ガードは、電源線から入ってくる過大な電圧(サージ)を吸収する部品が入っている、という意味の表示です。
落雷の被害をゼロにする装置ではありません。
箱に刷られた「最大サージ電圧」の数値も、測定条件がメーカーごとに違うため、そのまま大小で比べられない。
合計1,500Wという定格の欄とも、まったく別の話です。
本ページでは、雷ガードという表示が何を指しているのか・箱に並ぶVとAとJをどう読み分けるか・使っているうちに保護が効かなくなること・表示を確認できる場所まで、まとめて紹介します。
雷ガードは、電源線のサージを吸収する部品が入っているという表示
雷が落ちると、電線や地面を経由して、普段の電圧をはるかに超える電圧が一瞬だけ回路に入り込みます。
これが雷サージ。
雷ガード付きと書かれた電源タップには、このサージを吸収する素子(バリスタと呼ばれる部品が代表的)が組み込まれていて、一定の電圧を超えると導通し、機器側へ抜けていく電圧を抑える働きをします。
表示名はメーカーによって「雷サージ吸収」「サージプロテクタ」「雷サージ対応」と揺れますが、指しているのは同じ種類の部品です。
名前の違いで性能が決まるわけではありません。
押さえておきたいのは、守れる範囲のほうです。
まず、送電線や建物への直撃雷は対象外。
近くへ落ちた雷が電線に電圧を誘導する誘導雷、その一部を弱めるための部品であって、被害をすべて防ぐものではありません。
もうひとつ、電源タップが受け持つのは電源線から入ってくる分だけ。
LANケーブル、電話線、テレビのアンテナ線から入る経路はそのまま残ります。
ルーターやONUのように通信線がつながる機器は、電源側を固めても経路が一本開いたままになる。
ここを知らずに「タップを替えたから安心」と考えると、前提が崩れます。
箱に並ぶVとAとJは、それぞれ別のことを言っている
雷ガードの欄に並ぶ数値は、単位ごとに意味がまったく違います。
同じ「V」でも、加えた側の電圧と機器へ通す側の電圧という正反対の指標が同じ書式で並ぶため、ここが読み分けの要点になります。
| 表記 | 何を表すか | 見ておきたい人 |
|---|---|---|
| 最大サージ電圧(V) | 試験で加えたサージ電圧の大きさ。耐えた側の値で、機器に届く電圧ではない | 数値の大小で選びたい人(測定条件の併記も一緒に見る) |
| 制限電圧・クランプ電圧(V) | 素子が動作したあと、機器側へ通す電圧の水準。低いほど機器に届く電圧は小さくなる | 守りたい機器が決まっている人 |
| サージ電流(kA・A) | 一度に流せるサージ電流の大きさ | 複数の製品を数値で見比べる人 |
| エネルギー耐量(J=ジュール) | 素子が吸収できるエネルギーの総量 | 数年単位で使い続ける前提の人 |
| 定格(125V・15A、合計1,500Wなど) | タップ自体に流してよい電流と電力の上限。雷ガードとは別の欄 | 全員 |
混ぜやすいのがWとAです。
Wは機器が使う電力、Aは流れる電流で、タップの表示にはどちらも出てきます。
合計1,500Wという一般的な上限は雷ガードの性能とは無関係で、口数が多いタップほど、うっかり超えやすくなる数字。
口数を増やすときに容量と発熱をどう見るかは、10口を選ぶときの容量と発熱の目安で解説しています。
ご覧ください。
つなぐ機器と口数から、必要な電源タップを決める順番
選ぶ順番は、雷ガードの数値からではありません。
先に決まるのは容量です。
1. つなぐ機器の消費電力を合計する
各機器の背面やACアダプタに書かれたW数を足し、タップの上限(合計1,500Wが一般的)に収まるか確かめてください。
パソコン、モニター、周辺機器といった机まわりの構成なら余裕がありますが、暖房器具や電気ケトルのような高出力の家電を同じタップに足すと一気に上限へ近づきます。
タップからタップへ数珠つなぎにするのは避けてください。
2. 守りたい機器と、通信線の経路を確認する
パソコン本体、外付けストレージ、NASのように、止まると困る機器がどの口につながるかを書き出します。
通信線が入る機器がある場合は、電源側だけでは経路が残る前提で考える。
3. 口数と差込口の間隔を数える
ACアダプタが大きい機器を使うなら、口数だけ足りていても隣の口をふさいで実質的に使える数が減ります。
口数と間隔の見方、安全機能の読み方は、口数と安全機能で決める基準で解説しています。
ご覧ください。
4. スイッチの形式を決める
雷ガード付きでも、使っていない機器のスイッチを個別に切れるかどうかで日々の扱いは変わります。
個別と一括のどちらが向くかは、個別スイッチと一括スイッチの違いで解説しています。
ご覧ください。
同じ雷ガードでも、数値をそのまま横に並べて比べられない
雷サージの試験は、加える電圧の波形と時間を条件として決めて行われます。
国内ではサージ防護に関する規格(JIS C 5381シリーズなど)が定められていますが、家庭向け電源タップのパッケージには、その条件まで書かれていないことが珍しくありません。
条件が違えば数値も動きます。
片方が試験で加えた電圧、もう片方が機器へ通す制限電圧、という具合に指標そのものが入れ替わっていることもある。
だから、数値だけを見て「12,000Vのほうが優れている」と結論を出すのは早いです。
判断の順番はこうなります。
まず測定条件や指標名が併記されているかを見る。
併記されていれば同じ条件のものどうしで比べられる。
書かれていないなら、数値比較はいったん脇に置いて、定格容量・口数・アース付き(3極プラグ)かどうか・PSEマークの有無といった、確かめられる項目で絞り込むほうが確実です。
もうひとつ、雷ガードは消耗する部品だという点も横並び比較を難しくします。
サージを吸収するたびに素子は少しずつ劣化し、やがて保護が働かなくなる。
多くの製品には保護状態を示すランプが付いていて、点灯が消えたら素子の寿命を示す、という設計になっています。
買った時点の数値がそのまま何年も維持されるわけではありません。
表示は箱の側面と本体の刻印で確認できる
確認する場所は3か所です。
パッケージ側面の仕様欄、本体プラグ付近や裏面の刻印、そして通販の商品ページの仕様表。
定格(125V・15A・合計1,500Wなど)と安全マークは本体に刻印されているのが通例で、箱を捨てたあとでも読み取れます。
一方、サージ関連の数値は箱と説明書にしか書かれていない場合が多いので、購入時に控えておくと後で迷いません。
ランプの意味も説明書で確かめてください。
保護状態を示すランプか、通電を示すランプか、製品によって役割が違います。
ここを取り違えると、素子が切れているのに通電ランプを見て安心する、という状態になる。
設置面でも見落としがあります。
雷ガード付きは吸収素子を内蔵するぶん筐体が厚めになる傾向があり、机の裏へ固定する金具や面ファスナーが合わないことがあります。
天板に留める形を考えているなら、クランプ式の天板の厚みと固定の目安で解説しています。
ご覧ください。
定格を超えた使い方をすると、雷ガードの有無に関係なくプラグや本体が発熱します。
数値の比較より先に、合計Wの確認を習慣にしてください。
よくある質問
雷ガード付きなら、雷が鳴っている間もパソコンを使って大丈夫ですか
雷ガードは誘導雷の一部を弱めるための部品で、すべての状況で機器を守れるわけではありません。
近くで雷鳴が続くときにもっとも確実なのは、電源プラグと通信ケーブルを機器から抜いておくこと。
作業中のデータを保存してから抜いてください。
停電や瞬断が心配なら、無停電電源装置(UPS)という別のカテゴリの機器もあります。
雷ガードは何年で交換すればいいですか
一律の年数は決まっていません。
吸収したサージの回数と大きさで劣化の進み方が変わるためです。
判断材料になるのは保護ランプの状態と、メーカーが説明書で示している交換の目安。
電源タップ自体にも使用期間の目安を掲げているメーカーがあるので、そちらも合わせて確認するといいでしょう。
焦げた匂い、変色、プラグの緩みがあれば、年数に関係なく使用をやめてください。
雷ガードと過電流保護は同じものですか
別の機能です。
過電流保護(ブレーカー内蔵)は、つないだ機器の合計電流が上限を超えたときに回路を切るもの。
雷ガードは、外から入る一瞬の過大電圧を吸収するもの。
ほかにトラッキング防止(プラグ間のほこりと湿気による発火を抑える設計)や、差込口を塞ぐシャッターもあり、それぞれ役割が違います。
仕様欄では別の行に並んでいるので、一つずつ見てください。
まとめ
雷ガードという表示が意味するのは、電源線のサージを吸収する素子が入っていること。
直撃雷や通信線から入る経路は範囲の外で、素子は使うほど劣化します。
箱に並ぶVやJは測定条件が併記されていなければ横並びに比べられないので、まずは定格容量と口数、アースの有無から絞るほうが確実です。
買う前に、机の下でつないでいる機器のW数を足してみてください。
その合計と口数が決まれば、雷ガードの数値に迷う場面はぐっと減ります。
