目に優しいデスクライトの条件|明るさとちらつきの見方
「目に優しい」と書かれたデスクライトを比べても、その言葉自体に共通の基準はありません。
実際に見るべきなのは、机の上をどれだけ明るく照らせるか(照度)、光の色が自然に見えるか(演色性、Ra値)、そして光が細かく点滅していないか(ちらつき)の3点です。
JIS規格では、机での読み書き作業に必要な明るさをA形なら300ルクス以上、AA形なら500ルクス以上と区分しています。
この数字と手元の環境を突き合わせるだけで、候補はかなり絞れます。
本ページでは、照度と演色性の読み方・アーム形状やクリップ式といったタイプ別の向き不向き・買ってから気づきやすい設置の失敗まで、まとめて紹介します。
目に優しいデスクライトで最初に見るのは、机の上の照度
まず確認するのは、そのライトが「どの範囲を、何ルクスで照らせるか」です。
パッケージに書かれた数値は、たいてい「JIS AA形相当」「照度500ルクス(中心)」といった形で示されています。
ここで注意したいのは、中心の照度だけが大きくても、机の広さに対して照らせる範囲が狭ければ、資料を横に置いた瞬間に暗くなること。
JISの照度基準では、机上での読み書きを想定した明るさとして、A形が半径30cm内で300ルクス以上、AA形が半径30cm内で500ルクス以上と定められています。
ノートを1冊広げるだけならA形でも足りますが、キーボードと書類を並べて数時間作業するなら、AA形相当のほうが余裕があります。
もうひとつ、部屋全体の明るさとの差も効きます。
真っ暗な部屋で手元だけを強く照らすと、明るい紙面と暗い周囲を目が行き来する状態になります。
天井照明を点けたうえで手元を足す使い方のほうが、明暗の差は小さくなる。
「デスクライトだけで作業する」前提で明るさを選ばないほうが無難です。
明るさの数値と、ライトを机のどこに置くかの関係については、明るさと配置で負担が変わる仕組みで解説しています。
ご覧ください。
Ra値とちらつき、「目に優しい」の中身を仕様に置き換える
「目に優しい」という表記は、メーカーが何を根拠にしているかで中身が変わります。
効果として受け取るのではなく、次の仕様に置き換えて読むのが確実です。
演色性(Ra値)
Ra(平均演色評価数)は、自然光の下で見た色にどれだけ近く見えるかを表す数値で、最大が100。
一般的なLED照明ではRa80前後、色を扱う用途向けにはRa90以上をうたう製品もあります。
数値が低いと、紙の白や写真の色が沈んで見え、細かい文字を追うときに読み取りづらく感じることがあります。
イラストや写真の色を判断する作業なら、Ra90以上を目安に探すといい。
ちらつき(フリッカー)
LEDは電源の制御方式によって、目には見えない速さで明滅します。
この明滅が大きい製品は、長時間見ていると疲れを感じやすいという指摘があり、「フリッカーフリー」「ちらつき低減」を仕様として明記する製品が増えました。
表記がない製品でも、スマートフォンのカメラを向けて画面に横縞が走るかどうかで、ある程度の目安は分かります。
ただしカメラ側のシャッター速度にも左右されるため、これは簡易な確認にすぎません。
グレア(まぶしさ)対策
光源が直接目に入る位置にあると、いくら照度と演色性が良くても手元は見づらくなります。
発光面を拡散板で覆っている型、光源が奥まった位置にある型、ルーバー(格子状の遮光板)を持つ型は、座った姿勢からLEDの粒が直接見えにくい構造。
実店舗で確認できるなら、自分が座る高さから発光部をのぞいてみるのが早いです。
なお、「ブルーライトカット」をうたう製品もありますが、視力や疲れ目への効果は断定できません。
光の色(色温度、ケルビン)を変えられるかどうか、という調整機能として見ておくほうが実用的です。
デスクライトのタイプは、机のどこに固定するかで4つに分かれる
形の違いは見た目の好みではなく、机の面積をどれだけ食うか、光をどこまで動かせるかの違いです。
据置スタンド型
台座を机に置くタイプ。
設置がいちばん簡単で、天板を傷つける心配もありません。
ただし台座のぶんだけ作業面が減り、アームの可動範囲もクランプ式より狭いものが多い。
クランプ型
天板の縁を挟んで固定するタイプ。
机の上に土台を置かないため作業面が広く使えて、アームを長く取れる製品が多いのも利点です。
対応する天板の厚みが決まっているので、そこを確認しないまま買うと挟めません。
バー型(横長)
発光部が横に長く、机の広い範囲を均一に照らす形。
モニター上部に掛けるモニターライトもここに含まれます。
手元を局所的に強く照らす使い方には向きませんが、画面と机上の明るさの差を縮めたい場合には合う形です。
コードレス・充電式
ケーブルがないため置き場所を選ばず、机の配線も増えません。
代償として、明るさの上限が低めに抑えられている製品が多く、稼働時間の制約も付きます。
使える時間の目安と明るさの兼ね合いは、稼働時間と明るさの見方で解説しています。
ご覧ください。
タイプ別に向いている人と、向かない人
| タイプ | 構造上の特徴 | 向いている人 | 向かない人 |
|---|---|---|---|
| 据置スタンド型 | 台座で自立。設置に加工がいらない | 賃貸で天板を挟みたくない人、置き場所を頻繁に変える人 | 机が狭く、作業面を1cmでも残したい人 |
| クランプ型 | 天板の縁に固定。アームが長く可動域が広い | 広い可動域で光の角度を追い込みたい人 | 天板が厚すぎる/薄すぎる机、縁に枠がある机を使う人 |
| バー型・モニターライト | 横長の発光面で広い範囲を照らす | 画面作業が中心で、机全体の明暗差を減らしたい人 | 手書きや細かい手作業で、一点を強く照らしたい人 |
| コードレス・充電式 | 電源ケーブル不要。明るさと稼働時間に上限 | 机の配線を増やしたくない人、置き場所が定まらない人 | 毎日長時間、高い照度で作業する人 |
迷ったときの判断は単純です。
作業時間が毎日数時間で、明るさを優先するなら電源式のクランプ型かスタンド型。
配線と設置の手軽さを優先するならコードレス。
持ち運びを前提にした選び方は、コードなしで使えるかどうかの判断で解説しています。
ご覧ください。
「目に優しい」表記で失敗する選び方の3パターン
ミスマッチはだいたい、数値と自分の環境を突き合わせないまま買ったときに起きます。
中心照度だけを見て、照らせる範囲を見ていない
「最大1,200ルクス」といった表記は、多くの場合ライトの真下、指定の距離での値です。
机の幅が120cmあるのに発光部が小さい製品を選ぶと、キーボードは明るいのに右手の書類は暗いという状態になります。
照度の数値と一緒に「半径◯cmで◯ルクス」の記載があるかを見てください。
色温度を変えられない製品を、用途を絞らずに買う
色温度は光の色みを表す数値(ケルビン)で、数値が低いと電球のような暖色、高いと青白い昼光色になります。
文字を追う作業は昼白色から昼光色が読みやすいと感じる人が多い
一方、夜にくつろぐ時間まで同じ光だと落ち着きません。
1台で兼用するなら調色できる型のほうが融通が利きます。
光源が直接見える位置に取り付けている
製品の性能ではなく設置の問題です。
座った目線の高さよりわずかに上に発光部が来ると、視界の端に光源が入り続けます。
アームを下げるか、体の正面ではなく利き手の反対側から光を入れると、手の影とまぶしさの両方が減ります。
右利きなら左前方から、が基本の置き方。
買う前に測るのは、天板の厚みとアームの届く距離
届いてから使えないという失敗は、ほぼこの2つの数字を測っていないことから起きます。
クランプ型を選ぶなら、まず天板の厚みをミリ単位で測ってください。
対応範囲は製品ごとに決まっており、10〜60mmのように幅で示されます。
厚すぎれば挟めませんが、薄すぎても固定が甘くなる製品があるので、下限も確認しておくこと。
あわせて、天板の縁から手前に何cm分の平らな面があるかも測ります。
裏に補強の桟が通っていたり、縁に立ち上がりの枠があると、クランプの口が入りません。
次にアームの長さです。
カタログに載る数値は、支柱の高さとアームの水平方向のリーチが別々に書かれていることが多い。
机の奥にクランプを付けた状態で、光を落としたい位置まで水平距離が何cmあるかを測り、その数字がリーチの範囲に入っているかを見ます。
モニターの背後に支柱が来るレイアウトなら、モニターの奥行きも足して考える必要があります。
電源についても一点。
ACアダプターが大きい製品は、電源タップの隣の差込口をふさぐことがあります。
タップの合計容量(一般に1,500W)に対してデスクライトの消費電力はごく小さいものですが、差込口の物理的な干渉は起きます。
すでに機器が並んでいる机なら、アダプターの形状も見ておくと安心です。
机の高さそのものを変えられる環境なら、光の位置の悩みは減ります。
立ち座りを切り替える机の基準は、昇降デスクを選ぶときの判断軸で解説しています。
ご覧ください。
デスクライトは調整の見直しと掃除で、明るさの体感が変わる
使い始めてからの手当ては2つだけです。
ひとつは、発光面のほこりを拭くこと。
拡散板の表面にほこりが積もると、光が散って手元の照度が落ちます。
乾いた柔らかい布で拭くだけで戻るので、季節の変わり目にでも一度。
もうひとつは、机のレイアウトを変えたときにライトの角度をやり直すこと。
モニターを買い替えた、キーボードの位置を手前にした、といったタイミングで、以前の角度は合わなくなっています。
手を動かして紙面に影が落ちるかどうかを見て、影が出るなら光の入る向きを変える。
ここを放置したまま「暗い気がする」と感じて買い替えるケースは少なくありません。
買い替えを考える目安としては、LEDそのものの寿命よりも先に、可動部のへたりが来ることが多い。
アームが自重で下がるようになったら、ばねやトルクの調整ねじで戻らないか確認してください。
それでも保持できないなら交換時期です。
デザインを軸に選び直すなら、形と光の色で選ぶ考え方で解説しています。
ご覧ください。
なお、明るさや光の色を変えても目の疲れや痛みが続く場合は、照明以外の要因も考えられます。
気になる場合は医療機関に相談してください。
よくある質問
「目に優しい」と書いてあれば、どれを選んでも同じですか
同じとは言えません。
この表記に統一された基準はなく、ちらつきの低減を指す製品、演色性の高さを指す製品、色温度を変えられることを指す製品が混在しています。
パッケージの裏や仕様表で、照度・Ra値・フリッカーへの言及があるかを確かめてください。
何ルクスあれば足りますか
JISの区分では、机での読み書き作業を想定してA形が半径30cm内で300ルクス以上、AA形が500ルクス以上とされています。
読書やパソコン中心ならA形相当でも足りますが、細かい手作業や長時間の書き物が多いならAA形相当が余裕を持てる水準。
ただし部屋の照明を点けているかどうかでも体感は変わります。
色温度は何ケルビンにすればよいですか
作業時は5,000K前後の昼白色から6,500Kの昼光色が読みやすいという人が多く、夜のくつろぐ時間帯は3,000K前後の暖色に落とす使い方が一般的です。
感じ方には個人差があるため、調色できる製品なら実際に切り替えて決めるほうが確実です。
モニターライトとデスクライト、どちらを選べばよいですか
画面作業がほとんどで、紙を扱わないならモニターライトが合います。
画面への映り込みを抑えつつ、周囲との明暗差を縮められる形です。
手書きや資料の読み込みが混ざるなら、手元を狙って照らせるデスクライトのほうが使い勝手がいい。
クランプ式は賃貸の机でも使えますか
天板の厚みが対応範囲に入っていれば使えます。
ただし、挟む力で天板に跡が付くことがあるため、付属のゴムパッドが劣化していないかを見て、必要なら薄い当て布を挟んでください。
ガラス天板や中空の樹脂天板は、メーカーが対応外としている場合があります。
まとめ
デスクライトの「目に優しい」は、照度・Ra値・ちらつきの3つの仕様に置き換えて読むと比べられるようになります。
そのうえで、机の作業面をどれだけ残せるか、天板の厚みとアームのリーチが自分の机に合うかで形を決める。
この順番で見ていけば、候補は自然と数台に絞られます。
まずはメジャーで天板の厚みと、光を落としたい位置までの距離を測ってみてください。
そのうえで本記事の基準を照らし合わせて、自分の机と作業に合う1台を選んでいただければと思います。
